【2022年を占う(2)】
新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄された2021年。家で過ごす機会が増え、動画配信サービス、特に誰でも情報発信が可能なYouTubeやTikTokを利用し始めた人もいるのではないだろうか。
J-CASTトレンドは、動画クリエーターの修一朗さんにインタビューした。2020年5月に始めたTikTokは、フォロワー190万人を突破(21年12月22日時点)。YouTubeでの配信も本格的に始め、「2021年日本のYouTube年間ランキング」の「国内ショート動画クリエーターランキング」(YouTube発表)では、トップテン内の6位に入った。修一朗さんに、2022年のYouTubeのトレンドを予想してもらった。(聞き手はJ-CASTトレンド編集部・許田葉月)
「効率のいいコンテンツ」が求められる時代
――2020~21年を振り返って、流行したジャンルやコンテンツを教えてください。
修一朗 動画の切り抜き系が伸びた印象です。ショートムービーの個々のクリエーターも、「スーパートレンド」だったと思っています。TikTokクリエイターの進出も多く、盛り上がりました。日本一の登録者数を誇るTikTokクリエイターのjunyaさんもYouTubeに進出して、ショートムービーが4000万再生、1000万人の登録がありました。効率のいいコンテンツが求められている傾向にあります。2022年もその流れは変わらないと思います。
――この傾向を踏まえて、2022年に伸びそうだと注目している人物はいますか。
修一朗 アトム法律事務所の岡野タケシ弁護士です(国内ショート動画クリエーターランキング1位)。1年後もずっと見られるだろうな、と思います。コンテンツの独自性が強い。それだけでなく、フットワークも軽く視野も広い。コラボもできるので、同業者が登場しても強いと思います。
TikTokからYouTubeへの進出と考えると、「Jewel ami」ちゃん。元々TikTokで3年間活躍していたのもあり、ショート動画だと安定して視聴回数を稼いでいます(同7位)。今後はYouTubeで好まれる横長の動画を増やしてファンを作る必要がありますが、TikTokでのファンの性質や炎上をしたことがないなど抜け目がないので、これから伸びるのではないかと思います。
ひろゆきさんみたいな討論やディベートをされる方ですと、米エール大学助教授の成田悠輔さんがくるかと思います。
――成田悠輔さん、どのような人でしょうか。
修一朗 「日本をよくしたい」という思いを持っていて、「日経テレ東大学」というチャンネルで司会をしています。ひろゆきさんともう一人をゲストに迎えて行う討論番組ですが、コンテンツとしてのレベルが高い。個人チャンネルは持たないと思いますが、視聴者ウケがよく、キャラ立ちしている。そして力があるので、今後切り抜きコンテンツがかなり増えることになりそうです。
2022年、何かしらのランキングでこの3人は絶対入るでしょう。
「ショート」の面白さとYouTube動画の安定感
――YouTuber出身で気になっている人はいますか。
修一朗 コムドッドさんは、かなり気になりますね。昨年は登録者数200万人を目標にしていましたが、早々に達成されていました。その後に新しく立てた300万人も、既に超えています。固定ファンが何百万人とついていくと思いますし、メディアに出るのかな......。今後のYouTube界に影響を強くもたらすと思います。
――クリエーターにとって登録者数は、かなり大切なのでしょうか。
修一朗 僕個人の考えですが、もちろん登録者数は大事ですが、コンテンツの魅力・面白さが重要になってきたと思います。そしてそれ以上に、再生回数を意識した方がいいかな、と。YouTubeは元々、登録者が多いところにコンテンツがありました。しかし、近年はコンテンツがあふれているため、必ずしも登録者数の多さが再生回数に直結する時代ではなくなりました。ショート(動画)機能で大きく変化したと思います。
――ショート動画は、通常の動画と制作の違いはありますか。
修一朗 TikTokや「YouTube ショート」は、主に縦長で時間も短いのが特徴です。そこで、インパクトが求められます。一方、横長の動画は比較的時間が長くテレビで見るような安定性が求められます。TikTokでも最大3分の動画が作れるようになりましたが、YouTubeの横動画の安定性と同じものが求められるフェーズになったな、と感じます。
ただ、縦長かつ1分以上の動画は作るのが難しく、大成功したクリエーターはいません。僕が知っている成功者は、海外YouTuberの「Lisa Nguyen」さん。TikTokに限らず、今後のYouTubeが発達していく上でも、スマートフォンで動画視聴をする世代が間違いなく増えていくので、こういうクリエーターが求められています。まだこの分野のクリエーターさんがほとんどいない状況なので、注目したいですね。