日本でも新型コロナウイルスのオミクロン株による市中感染が広がりつつある。対策の切り札になるとされているのは、3回目のワクチン接種(ブースター)だ。すでに医療従事者などへの接種が始まっているものの、一般の国民に順番が回ってくるのはかなり先になりそうだ。なぜ遅れているのか。
「自治体間の平等はかる」判断は問題
この問題については2021年12月1日、TBSの番組に出演した新型コロナウイルス感染症対策分科会のメンバー、小林慶一郎・慶応大学経済学部教授が極めて分かりやすく解説している。
それによると、一つは「どちらかというと政府の中の対応がのんびりしていた」。二つめは、「供給量が年内は足りないだろう」と考えられていた。これは「8か月間隔での接種」ということを前提に製薬会社と交渉していたことによる。したがって、年内に高齢者施設や医療従事者には接種できるが、一般の高齢者までは対応しきれない、と思われていた。
さらに、自治体間で準備状況に差があった。平等にしようとすると、準備ができてないところに合わせて遅いタイミングやることになる、というわけだ。
小林氏は、「国民の命をリスクにさらしながら自治体の間の平等をはかる」「これは極めて問題のある判断」「とても許される判断ではない」と語っていた。