日本にいま何人の米軍人がいるのか
報道の中で、しばしば登場する「日米地位協定」とはどういうものなのか。『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(創元社)によると、「アメリカが占領期と同じように日本に軍隊を配備し続けるためのとり決め」だという。
元・琉球新報の論説委員長で、編著者の前泊博盛さんによると、1952年のサンフランシスコ講和条約締結時に、日米安保条約と、「地位協定」の前身にあたる「日米行政協定」も発効した。講和条約や安保条約には書き込めない、最も属国的な条項を押し込むための「秘密の了解」が「日米行政協定」であり、日米関係を「属国・宗主国」とみなし、それを支える文書によるとり決めが現在の「日米地位協定」だと強調する。
そもそも日本にいま何人の米軍人がいるのか。それすら日本政府は把握することができないのだという。なぜなら、地位協定によって、米軍人はパスポートやビザの適用から除外されている。同書によれば、軍用機で来日した後、フェンスの外に出るときに出入国検査がないそうだ。
大宅ノンフィクション受賞者でジャーナリストの吉田敏浩さんの『「日米合同委員会」の研究』(創元社)によると、「日米地位協定」の具体的な運用は、「日米合同委員会」で行われる。
多数の分科委員会や部会が常設で設けられている。出入国、通信、民間航空、民事裁判、刑事裁判、事故、財務、港湾などだ。それぞれの部門の米国側の代表者は、在日米大使館参事官を除いてすべて軍人。日本側の担当者は、外務、防衛はもちろん、法務、郵政、国交、農水など多数の省庁に分かれる。おおむね課長以上の高級官僚が出席している。
会合は2週間ごとに開かれている。これまでに約1600回。場所は東京・南麻布の「ニューサンノー米軍センター」(通称ニュー山王ホテル)と外務省が交互らしい。