カス丸 はーい、ぼくカス丸きゃすう。先週は奇跡が起きたじぇい。大穴狙いのカスヨ姉さんが2週連続で当てたきゃすう。◎△〇の三連単。中身は大穴じゃなかったけど、初めてのことだじぇい。今週はいよいよ1年の締めくくり、グランプリ有馬記念(2021年12月26日、中山競馬場、芝2500メートル)きゃすう。カスヨさんは未曽有の3週連続的中を狙ってるけど、本命◎はなんとアリストテレスだじぇい。この馬は菊花賞でコントレイルにクビ差迫っての2着以来、いまいちぱっとしないきゃすう。あのとき、一生の力を使い切ってしまったんじゃないかと思うんだけど、大丈夫なのか、心配になってしまうじぇい。本当に復活するきゃすう?
中山の有馬記念コースはまぎれが多い
カスヨ 最後の最後は大穴で決めるわよ。カス丸のいうとおり、アリストテレスは昨年の菊花賞で3冠馬コントレイルをクビ差まで追い詰めて2着だったわ。今年1月のアメリカジョッキークラブカップ(AJCC、GII、中山2200メートル)は不良馬場だったんだけど快勝。天皇賞・春(GI、阪神3200メートル)は4着と長距離における地力の高さは示せているわよ。前々走の京都大賞典(GII、阪神2400メートル)は、ゴール直前でマカヒキに交わされて2着だったんだけど復調の気配は十分だったわ。今回の中山コースは不良馬場のAJCCを勝っているとおり、冬場の荒れた中山コースへの適性はありそうね。それに中山2500メートルはまぎれが多いコースで有名なのよ。スタートが第3コーナーから少し外回りに引っ込んだ地点で、すぐにコーナーを曲がるから内枠有利なのよね。そして内回りコースを1周半回るんだけど、ゴール直前の急坂を2回上らないといけないわね。パワーとスタミナが必要ね。そしてまぎれの原因はコーナーが6回もあるという点。菊花賞を走った馬は6回のコーナーを経験してるんだけど、長距離を走ったことのある馬以外はなかなか6回という経験はないわね。コーナーが多いという点は、逃げや先行馬が有利ということ。それと金曜日の夜から土曜の朝にかけて雨が降るから良馬場というわけにはいかないわね。今回は内枠に入ったパンサラッサが逃げる展開が予想されるから、多少の荒れた馬場なら苦にしないアリストテレスも前目のポジションで競馬ができれば実力的には勝ち切ることは可能と思われるわ。先週、GI朝日杯フューチュリティステークス(阪神1600メートル)を勝ったレジェンド・ユタカちゃん(武豊騎手)の勢いにも期待できるわよ。
カス丸 ふーん、いまいち分かったような分からないような説明きゃすう。先週は〇◎△で三連複当てたガジュマル爺の本命◎は3歳馬、ステラヴェローチェだじぇい。1番強い馬を本命にする爺の考えだと、ステラが一番強いきゃすう?
ガジュマル爺 今年の3歳馬は強い。これはもう秋の重賞戦線を見れば間違いないじゃろ。ステラヴェローチェはそのハイレベルな3歳馬の一角じゃ。前走の菊花賞(GI、阪神3000メートル)は2番人気で4着。向こう正面を18頭立ての15番手からレースを運び、4コーナーを9番手から上がり(最後の600メートル)最速の34秒7で差し込んできたが4着までじゃった。勝ったタイトルホルダーからは0.8秒差と離されたものの、力強さは抜きんでていたんじゃ。2歳時の朝日杯フューチュリティステークス(阪神1600メートル、2着)、3歳クラシックの皐月賞(中山2000メートル、3着。勝ち馬はエフフォーリア)、日本ダービー(東京2400メートル、3着。勝ち馬はシャフリヤール)と、どのレースも上がり最速をマークしてきたんじゃ。安定した差し脚はここグランプリでも十分に通用するとみておるんじゃ。父は女王クロノジェネシスと同じバゴ。500キログラムほどの馬体に、スタミナとパワーを秘めておるから、馬場が荒れても大丈夫じゃ。鞍上がミルコ・デムーロ騎手に乗り替わるが、腕っぷしの強さはこの馬にぴったしじゃ。それと有馬記念は菊花賞組が活躍するレースじゃからクラシック3冠を取れなかったうっぷんを、ここで晴らすというわけじゃ。
カス丸 ふーん、荒れ馬場に強い馬きゃすう。一発がありそうな雰囲気だじぇい。さて、今回は人間様の世界では2強とかいわれてるけど、カスヨさんの対抗〇はクロノジェネシスネシス、爺はエフフォーリアきゃすう。2強を本命にせず、対抗にもってきた理由を知りたいじぇい。
クロノとエフフォーリアの心配な点とは
カスヨ クロノジェネシスは春の宝塚記念(GI、阪神2200メートル)を制してグランプリ3連覇を達成。スピードシンボリ、グラスワンダーという過去の名馬たちに並んだけど、両馬を超える4連覇がかかってるわね。秋華賞(GI、京都2000メートル)、宝塚記念、有馬記念と内回りコースでGIを4勝しているのでコース適性には問題がないわ。ドバイシーマクラシック(GI、アラブ首長国連邦 芝2410メートル)では後にブリーダーズカップ フィリー&メアターフ(GI、米デルマー芝2200メートル)を制するラブズオンリーユーに先着して2着とレベルが高いレースで好走し、宝塚記念では2馬身半差の圧勝と、フツーに走れば馬券圏内を外すことは考えづらいわね。ただ一点、極悪馬場だった2か月前の凱旋門賞の疲れだけが心配なのよね。これがどうなのか、その一点の懸念で対抗にしたわけなのよ。
カス丸 なるほど、疲れが残ってるとみてるわけだじぇい。疲れがないという点ではエフフォーリアは秋2戦目だから、その点は心配ないきゃすう?
ガジュマル爺 そのとおりじゃ。この馬はデビューから6戦5勝。2着に敗れた日本ダービー(東京2400メートル)も、勝ったシャフリヤールとはハナ差という僅差だったんじゃ。まあ、6戦全勝みたいなもんじゃな。今年のクラシック3冠目の菊花賞は距離が長いとみてスキップして古馬との対戦となる天皇賞・秋(GI、東京2000メートル)へ進んだんじゃ。その天皇賞・秋では、昨年の無敗3冠馬コントレイル、マイル女王のグランアレグリアを完封するという快挙。3歳馬のレベルの高さを見せつけたんじゃ。コントレイルがその後のジャパンカップ(GI、東京2400メートル)、グランアレグリアがマイルチャンピオンシップ(GI、阪神1600メートル)を勝っていることから、その実力はいまやナンバーワンといってもおかしくないじゃろ。鞍上も、横山武史騎手が乗り続けているのはプラスじゃ。中山コースは皐月賞(2000メートル)を勝ったコースだが、課題は初めてとなる2500メートルの距離なんじゃ。ダービーの時みたいに、最後の差し脚がわずかでも鈍ると、取りこぼす場面も出てくるということじゃ。
カス丸 こちらも、なるほどきゃすう。長距離の菊花賞を回避したのも距離と考えれば、ダービーの距離が限界と陣営は見てるのかもしれないじぇい。あとは6回もコーナーを回る経験がない点も不安きゃすう。ところで、有馬記念は毎年のように、人気薄が飛び込んできてるじぇい。今年も高配当をもたらす馬はたくさんいるきゃすう?
一発を狙うのはどの馬か
ガジュマル爺 わしの推しはまずタイトルホルダーじゃな。8戦3勝2着2回のこれも強い3歳馬じゃ。2歳時のGI、ホープフルステークス(中山2000メートル。勝ち馬はダノンザキッド)で4着。年明けの弥生賞ディープインパクト記念(GII、中山2000メートル)を逃げ切って優勝。続くクラシック第1戦の皐月賞(GI、中山2000メートル)は8番人気で3コーナーから先頭に立ち、逃げ粘っていたところをエフフォーリアに差し切られて2着。日本ダービーは逃げられず、先行集団でレースを進めたんじゃが6着と悔しい思いをした。菊花賞のステップに選んだセントライト記念(GII、中山2200メートル)は1番人気に推されたが、逃げることができず13着に惨敗。しかし、ついに菊花賞(GI、阪神3000メートル)では逃げに逃げて、2着のオーソクレースに5馬身差をつけて圧勝じゃ。逃げると強いところを改めて印象づけたんじゃな。今回は8枠16番と大外を引いてしまったが、日本ダービーでも14番枠(17頭立て)から先行策に出ており、外枠からのレース運びの経験はあるから、それほど心配ないじゃろ。ただ、内枠に逃げ馬パンサラッサがおるから、どうするかじゃ。自分のペースで逃げることが勝つための条件じゃから、パンサラッサを一人旅にさせて、少し間隔を空けた2番手でいけば、結構いけるはずじゃ。強い3歳の最後の1冠を奪取した実力をみせてほしいもんじゃ。 次にこっちはロートルなんじゃが、ペルシアンナイトじゃな。2017年のマイルチャンピオンシップ(京都1600メートル)を勝ったGI馬も、その後は2018年の大阪杯(阪神2000メートル。勝ち馬はスワーヴリチャード)、マイルCS(勝ち馬はステルヴィオ)の2着があるものの、GIには手が届いておらんのじゃ。7歳馬となり、往年の力はないように見えるんじゃが、今夏の札幌記念(GII、札幌2000メートル。勝ち馬はソダシ)で3着じゃ。前走のチャレンジカップ(GIII、中京2000メートル)ではなんと上がり(最後の600メートル)最速の33秒9で追い込み3着と好走したんじゃ。エフフォーリアの勝った天皇賞・秋(東京2000メートル)でも33秒1の末脚を披露して追い込む(7着)など、まだまだ脚の使いどころひとつで上位は可能じゃ。中山競馬場は3歳時の皐月賞(2000メートル。勝ち馬はアルアイン)で2着。1枠1番を引いたことで、内ラチ(柵)沿いをロスなく運べれば、後方一気でチャンスがあるじゃろ。波乱の有馬記念を演出するのは、いつも人気を落としたGI馬ということを忘れちゃならんぞ。 最後にディープボンドじゃな。この馬は15戦5勝2着2回3着1回の4歳馬じゃ。このうちの1勝はフランスのGII、フォワ賞(ロンシャン2400メートル。2着は、ジャパンカップに出走して11着だったブルーム)を逃げ切ったんじゃ。前走は凱旋門賞(GI、仏ロンシャン2400メートル)に挑戦したんじゃが、不良馬場ということもあって14着じゃった。しかし、3歳時は皐月賞(中山2000メートル。10着)、日本ダービー(東京2400メートル。5着)、菊花賞(京都3000メートル。4着)とクラシック皆勤賞。成長とともに、距離が延びて成績が安定してきた。遠征前の阪神大賞典(GII、阪神3000メートル)は先行して抜け出す競馬で優勝。続く天皇賞・春(阪神3200メートル)では1番人気に推され、3番手から抜け出したところをワールドプレミアに差されて2着じゃった。中山コースの2500メートルは、この馬にはちょうど良い距離のはずじゃ。鞍上に乗りなれた和田竜二騎手に戻るのもプラスじゃし、斤量も凱旋門賞の59.5キログラムから一気に57キロに軽くなるのもいい。調教をみても、疲れはなさそうじゃから一発あってもおかしくないはずじゃ。
カスヨ 私はまずはアサマノイタズラよ。中山コースは6戦2勝2着1回3着1回で掲示板を外したのは皐月賞だけよ。ここ2戦は後方から上がり最速で追い込む競馬をしているから、今回パンサラッサがばんばん飛ばして、後半クロノジェネシスが追い込みを図るとなると、脚をためたこの馬の一発があってもおかしくないわよ。 次にアカイイトね。前走エリザベス女王杯は10番人気の低評価を覆してGI初挑戦、初制覇を達成したばかりね。今年に入ってからの戦績は府中牝馬ステークスの7着を除けば1着3回2着2回3着1回と常に馬券に絡む成績をおさめているわ。エリザベス女王杯組は昨年の人気薄で2着に飛び込んだサラキアのように侮れないわね。この馬も末脚、要注意よ。 最後はウインキートスね。中山競馬場では過去10回走って1着2回2着5回3着1回と8割が馬券に絡むという安定感をみせているわ。父ゴールドシップは2012年の有馬記念優勝馬だし、血統的にみても最も得意なコースで一発があるかもしれないわね。
カス丸 去年本命にしたクロノジェネシスの調教が去年より迫力がないように見えるきゃすう。カスヨさんのいうとおり、疲れがあるのかもしれないじぇい。菊花賞で本命にしたタイトルホルダーも期待してたのに外枠に入ってしまったし、ここはエフフォーリアの安定感を買って本命◎にするきゃすう。