宮古島から「東京にいる体」で社外と会議
実証実験の参加者から体験談を聞いた。東京の会社に勤務する20代の営業社員、林拓真さんと松本知也さん。業務が落ち着くタイミングを見計らい、9~11月に月1ペースで2人一緒に旅行した。行き先は新千歳、宮古、小松。土日祝を絡め、有給休暇も取りながら各4泊5日で日程を組んだ。
「その土地ならではの食(ローカル飯)とサウナが毎回の目的です。インターネットで調べても出てこない、現地の住民だけが知っているおいしい食どころを探すのが楽しいですね。居酒屋で近くの席にいた人に話しかけてみたり、ホテルのフロントで雑談をしたり」(松本さん)
「『HafHを利用して泊まりにきたんです』とホテルの人に言うと、興味深そうに話を聞いてくれます。2019年に始まった新サービスなので、利用者の思いを知りたいのかな。そのやりとりがきっかけで、貴重なローカル情報を手に入れられることもあります」(林さん)
沖縄・宮古島だけは、林さんと松本さんを含めた6人で遊びに行った。4人が観光に出かけている間に、残りの2人はホテルにこもって仕事をする過ごし方も経験したそうだ。「友人が仕事をしている姿を見て、新しい一面を発見できた」と林さん。松本さんは「デジタルノマドが2人いたので、こういう働き方ができるのかと新鮮でした。将来のキャリアプランについて選択肢が広がりましたね」と話す。
充実した旅になった一方、ある「困りごと」もあった。休日に、仕事が入ったときのことだ。
「社外との会議が決まって、少し慌てました。打ち合わせに使える場所を探すのが大変で...。東京にいる体で、天気や気温の話を合わせました」(松本さん)
「同僚として、松本と同じ時間に会議に参加することもあったので、オンライン会議ツールでお互いの声が入ってしまうと邪魔になってしまうと考え、別室に移動して対応しました」(林さん)
リモートワークやワーケーションの普及率、そのイメージの良し悪しには差がある。取引先に失礼にならないように、との考えがあっての行動だった。この点について松本さんは「デジタルノマドの友人は、打ち合わせ相手に『今〇〇で仕事をしている』と現在地をオープンにし、話題の一つにしていた。今までは考えられなかった働き方を間近で見て、刺激を受けました」と述べた。