各地の産品が買える自動販売機は、以前から設置されている。東京都内には地方の「アンテナショップ」があるが、新型コロナウイルスの流行により店舗に出入りするよりも、人との接触がないこうした「ご当地自販機」がより重宝されているのではないか。
J-CASTトレンドは、自販機を設置している自治体や運営者に実態を取材した。
簡単に商品を入れ替えられる
東京メトロ・大手町駅の中央改札付近にあるのは、富山県の「ご当地自販機」だ。銭湯のおけでおなじみ「ケロリン」のボディータオルや、かまぼこチップスなどが購入できる。設置している「富山県首都圏本部」に取材した。
担当者によると、大手町駅での固定設置をしたのは2018年。富山のブランド米PRがきっかけだ。それ以前にも、有楽町駅に一時的に置くなどイベントごとに場所を変えていた。当初は、どんなものが売れるか「お試し」で導入したという。
アンテナショップがあるのに自販機を設置した理由は、何か。担当者の説明は、こうだ。
「簡単に始められ、商品の入れ替えも容易です。そのため、お試しで(商品を)販売してみることもできます」
ただし、コロナ禍で売れ行き好調というわけではない。「『コロナ禍で売れたのではないか』と思われる人もいらっしゃいますが、設置場所の大手町駅や羽田空港の利用者が減少したことで、購入者も減りました」。2021年4~9月までは、コロナ以前の7割程度の売り上げにとどまったという。
それでも、10月からは自販機を交通ICカードに対応したことや、緊急事態宣言の解除、商品ラインアップを拡充した結果、売り上げは回復したと話した。
大阪府豊中市にある大阪国際空港(伊丹空港)内にある、「INFORMATIONひょうご・関西」では、兵庫県の特産品を自販機で販売している。県からの委託を受けた兵庫県物産協会によると、2018年4月の案内所の開設に合わせ、物産品のPR手法の1つとして始めた。
しかし、コロナ禍で臨時休業を実施したことや、空港利用者の減少のあおりを受け、「その時期の売り上げは、ありません」。