「eスポーツスクール」授業の中身に迫る 勉強や仕事にも生きる考え方

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   「eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)」を学ぶスクールが開校している。子どもたちが習い事として通っているのだ。

   2021年5月13日には国際オリンピック委員会(IOC)が、eスポーツイベント「Olympic Virtual Series」を開催。競技としての見方が強まっている。小・中学生向けの「熊本eスポーツスクール」で講師を務めるケイスケさんに、カリキュラムを中心に話を聞いた。

   昨今、習い事としてeスポーツスクールに通う子どももいる。どんな勉強をしているのか、また「ゲームばかりやって、生活に支障が出る」ことはないのか。率直な疑問をぶつけた。

  • システムエンジニアでもある、ケイスケさん
    システムエンジニアでもある、ケイスケさん
  • システムエンジニアでもある、ケイスケさん

高度な戦略が必要「ぷよぷよeスポーツ」

   同校は、パソコンスクール「マリオネット」(熊本市)が運営する。ケイスケさんはまず、「授業はじめの30分は座学をします」と話した。ゲームのテクニックだけでなく、国内外のeスポーツの情勢や、著作権にまつわる法律を解説している。権利元に無許可でゲームを利用してeスポーツ大会を開催したり、プレイ動画をネット配信したりした場合、著作権侵害の問題が生じる恐れがあるためだ。

   そのほか、プレイヤーではなく、動画コンテンツの実況や配信を行う「ストリーマー」を目指す場合に必要な機材の知識や、いかにマネタイズするかも学べる。いわば、自動車教習所における学科教習のようだ。

   実技は、「画面のどこを見るか」にはじまり、駆け引き、技を出すタイミングなどを細かく教える。取材では、セガの落ち物パズルゲーム「ぷよぷよeスポーツ」を例に説明してもらった。

   対戦では、落ちてくる「ぷよぷよ」を同色4つ以上つなげて消滅させ(1連鎖)、相手フィールドに「おじゃまぷよ」を降らせて戦う。先に左から3列目が上まで埋まったら負ける。

   上手なプレイヤーほど、「消えたぷよぷよの上に乗っていたぷよぷよは、そのまま落ちる」ことを利用し、幾重にも連鎖を組む。連鎖数に比例し、相手に降らせるおじゃまぷよの量が増え、逆に送られてきたおじゃまぷよは、自分も連鎖を打つことで「相殺」できる。ケイスケさん曰く「10連鎖を安定して組めるようになってこそ、(eスポーツ上級者を目指すうえでの)『初心者』といえます」。プロにかかると、20近い大連鎖が見る間に出来上がる。

「連鎖は正確に、そして早く組むことが重要です。加えて、いつ発動させるか、ベストなタイミングを判断するセンスも欠かせません。例えば、もし相手が大連鎖を組もうとしていたら、3~4連鎖を早々にぶつけて邪魔する手もあります」
画面左はケイスケさんが数秒で作った連鎖。「GTR」という土台になっている
画面左はケイスケさんが数秒で作った連鎖。「GTR」という土台になっている

   落ちてくるぷよぷよの色はランダムで、自分のフィールドもその時々で状況が異なる。置くべき場所がどこか、都度即断しなければならない。一瞬の迷いが命取りだ。プロ同士がぶつかると、高い判断力と集中力によるハイレベルな駆け引きが見られるという。

   ケイスケさんはスクールで、ゲームをプレイしながらこうした内容を教えている。生徒が連鎖を組む画面をそばで見ながら「ここに置くと大連鎖につながる」と指で具体的に示すこともあるが、基本的には「生徒から質問してもらい、ヒントを返します」。答えをすぐ与えてしまうと、考える力が身につかないからだ。

「今の一手はよかった」「もっと良い置き場がある」など、生徒の答えに対してその場で評価する
「今の一手はよかった」「もっと良い置き場がある」など、生徒の答えに対してその場で評価する
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