「常連になったらママをやれ」とは言われません
カフェに「赤ちゃん」として通ううちに、「癒やされる側としての経験を生かし、ママもやるようになった」常連に話を聞いた。利用歴約1年の「海(Umi_large)」さんだ。「その日の利用者の割合を見ながら、赤ちゃんとママ、どちらで過ごすかを決めている」という。カフェには名簿に正式登録のある「スタッフママ」だけではなく、登録はないが癒やす側も担う「フリーママ」もいる。「フリーママ」になるうえで、決まりや条件はないようだ。
ただ、何度通っても「癒やす側」に回るルールはない。Yukininnjiさんは、「一時ママをやってみたが、向いていなかった」と話す。「赤ちゃんにどんな言葉をかけたらよいか、どう接すべきかと迷ってしまった」のだ。相手を癒やそうと頑張りすぎてストレスを感じたため、今は「赤専(=赤ちゃん専門の利用者)」として楽しんでいる。新たなVR友達との出会いの場にもなっているという。
同店の支店長を務める「円角(ennkaku)」さんは「授乳caféキタリナは癒やしと落ち着きを提供しています。これからも皆さんを癒やしていけるように頑張っていきたい」とコメント。さまざまなパパ、ママと会話したが、話すテンポや身振りが全員ゆったりで、口調が柔らかい。否定的な言葉は、最後までなかった。
「授乳」と聞くと身構えるかもしれない。記者も初めはそうだった。だが実際にカフェをのぞくと、知り合いを求めてVR世界への入口にしようとしている人、社交場として使っている人もおり、難しく考える必要はない。「赤ちゃんになれ」、「ママ役をやれ」と強要される恐れもなく、どう過ごすかはその人に委ねられているので安心だ。記者も、また癒やされに行きたい。