VR「授乳カフェ」ちょっと怪しげだが 扉の向こうはめくるめく光景

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「常連になったらママをやれ」とは言われません

   カフェに「赤ちゃん」として通ううちに、「癒やされる側としての経験を生かし、ママもやるようになった」常連に話を聞いた。利用歴約1年の「海(Umi_large)」さんだ。「その日の利用者の割合を見ながら、赤ちゃんとママ、どちらで過ごすかを決めている」という。カフェには名簿に正式登録のある「スタッフママ」だけではなく、登録はないが癒やす側も担う「フリーママ」もいる。「フリーママ」になるうえで、決まりや条件はないようだ。

   ただ、何度通っても「癒やす側」に回るルールはない。Yukininnjiさんは、「一時ママをやってみたが、向いていなかった」と話す。「赤ちゃんにどんな言葉をかけたらよいか、どう接すべきかと迷ってしまった」のだ。相手を癒やそうと頑張りすぎてストレスを感じたため、今は「赤専(=赤ちゃん専門の利用者)」として楽しんでいる。新たなVR友達との出会いの場にもなっているという。

よだれかけを装備し、赤ちゃんとしてカフェを楽しむ気満々のYukininnjiさん(写真左)
よだれかけを装備し、赤ちゃんとしてカフェを楽しむ気満々のYukininnjiさん(写真左)

   同店の支店長を務める「円角(ennkaku)」さんは「授乳caféキタリナは癒やしと落ち着きを提供しています。これからも皆さんを癒やしていけるように頑張っていきたい」とコメント。さまざまなパパ、ママと会話したが、話すテンポや身振りが全員ゆったりで、口調が柔らかい。否定的な言葉は、最後までなかった。

   「授乳」と聞くと身構えるかもしれない。記者も初めはそうだった。だが実際にカフェをのぞくと、知り合いを求めてVR世界への入口にしようとしている人、社交場として使っている人もおり、難しく考える必要はない。「赤ちゃんになれ」、「ママ役をやれ」と強要される恐れもなく、どう過ごすかはその人に委ねられているので安心だ。記者も、また癒やされに行きたい。

〇東智美(ひがし・ともみ)株式会社トーモ/株式会社往来 代表取締役
2009年、ウェブ・グラフィック制作を主要事業に東京都港区に株式会社トーモを設立。16年に自社ブランド「RAKUNI」をつくりスマホアクセサリーの販売事業を開始した。2021年3月にメタバースでのマーケティングや調査を手掛ける株式往来を立ち上げ、3月25日にエムディエヌコーポレーションより『仮想空間とVR』を上梓。
媒体やブロガーとのメディアリレーションを得意分野とし、自らも「flick!」「日経クロステック」などに連載を持ち、「FNNプライムニュース α」の海外テックイベントのレポーターを務めるなど、ネットや媒体を積極的に活用した販促活動を行っている。

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