押井守監督のメルマガに励まされる
物語の主人公は、モスクワ近郊の農村に暮らしていた少女セラフィマ。1941年6月、独ソ戦が始まった。独軍によって、母親や村人たちが惨殺され、復讐のため狙撃兵になることを決意する。似た境遇の女性だけで編成された小隊に入り、過酷な訓練を重ねやがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう・・・。
著者の逢坂さんは1985年生まれ。明治学院大学国際学部国際学科卒。早くも今月4日の朝日新聞読書面の「著者に会いたい」欄に登場し、「個人と戦争の関わりに昔から興味がありました。はからずも動員され、連帯して戦うことになった女性たちの内面の移り変わりを通じて、戦争の悲惨さを描きたいと思った」と執筆動機を語っている。
「新人の作品とは思えない完成度」などと高い評価を得た今回の作品。実際には逢坂さんは、十数年前から文学賞への応募を続けており、クリスティー賞だけでも4回落選しているという。
落ち込んでいた時に、大好きな押井守監督のメルマガの質問コーナーに、不安を書き送ったところ、「プロになれるかどうかは、才能だけではなくて世の中の都合だったりするので、ここはあせらずに肩の力を抜いて努力しなさい」という返事をもらい、励みになったという。