ツイッターに癒やしを「アイラブデスク」とは ペンギンのキャラがかわいい

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   【ツイッターは仕事!企業公式「中の人」集合(19)】

   パソコンで使える壁紙やスクリーンセーバー、ちょっとした息抜きになるパズルゲームなどを通じて癒やしを提供し、デスク周りの快適化を目指すプロジェクト「アイラブデスク」。コンピュータの周辺機器を製造・販売するアイ・オー・データ機器(金沢市)が2016年4月にスタートした。

   その公式アカウントは、コスプレ好きなペンギンのキャラクター「いおたろ」と、お世話係のスタッフOさん、Aさんが日々更新中。いおたろが「今日は何の日か」をイラストで伝える毎朝の挨拶をはじめ、画像や動画で癒やしのタイムラインを作り上げている。見る人を楽しませ、ファンにする運用のヒントを聞いた。

  • 「アイラブデスク」のキャラクター「いおたろ」
    「アイラブデスク」のキャラクター「いおたろ」
  • 石川県を代表する伝統工芸品「九谷焼」と、いおたろのコラボ
    石川県を代表する伝統工芸品「九谷焼」と、いおたろのコラボ
  • アイ・オー・データ機器入口で歓迎してくれた、いおたろ
    アイ・オー・データ機器入口で歓迎してくれた、いおたろ
  • いおたろグッズがずらりと並ぶ、アイ・オー・データ機器の受付
    いおたろグッズがずらりと並ぶ、アイ・オー・データ機器の受付
  • 「アイラブデスク」のキャラクター「いおたろ」
  • 石川県を代表する伝統工芸品「九谷焼」と、いおたろのコラボ
  • アイ・オー・データ機器入口で歓迎してくれた、いおたろ
  • いおたろグッズがずらりと並ぶ、アイ・オー・データ機器の受付

インナーブランディングで社内を味方に

《アイラブデスク【I-O DATA】》 パソコンやスマートフォンで使えるカレンダー壁紙の配布など、プロジェクトの最新情報を告知。寄せられるリプライを通じ、フォロワーとの交流も積極的に行っている。Oさんと、もう一人の前任者が17年1月にアカウント開設。「いおたろ」の名前は17年4月に一般公募し、つけられた。

   Oさんと、現在のスタッフのAさんは販売促進課に所属するデザイナーだ。アカウント開設時からツイッターを手掛けているOさんはグラフィックデザイナーとして製品パッケージ、アプリ画面のデザインなどを、20年7月に加わったAさんは製品そのものの造形(インダストリアルデザイン)を担当。これら業務のかたわら、「アイラブデスク」プロジェクトの企画運営、ツイッターアカウント運用を手掛けている。

   文章だけのツイートは、ほぼない。特に毎朝の「今日は何の日」ツイートは、いおたろが投稿内容に合わせてポーズを取る、特殊な衣装を着るなどイラストに趣向を凝らしている。定期的な取り組みではないが、キャンペーン企画の一環でいおたろが縄跳びをしたり、ジェスチャーでクイズを出したりと、チャレンジングな動画も数多い。

「画像や動画はツイッターを眺めていると、自然に目に飛び込んできます。見ようとしなくても気付けば見ている、ないしは見終えてほっこりできるような楽しい情報発信に努めています」(Aさん)

   アイ・オー・データ機器のアカウントが商品プロモーションに注力しているのに対し、「こちらは商品説明をせず、ユーザーとの『交流』に重きを置いて運用しています」とOさん。「アイラブデスク」のオリジナルメンバーとして、いおたろ誕生からずっとブランディングを手掛けてきた。広く愛されるキャラクターに育てるため、最初にやらなければと思ったのがインナーブランディングだったと語る。

「17年1月に、それまでに作成した1年分の壁紙を集めて卓上カレンダーにする企画を立てました。応募者だけでなく、社内にも積極的に配布しました。『アイラブデスク』はストレスを少しでも発散させ、癒すことが目的ですから、まずは社員に癒やしを届けなければと。『社内の一プロジェクトが勝手に変なことを始めて、暴走している』と受け取られないよう理解を求めていかねば、という思いもありました」

   アイ・オー・データ機器のオフィスに入ってすぐの受付には、いおたろのグッズがいくつも飾られており、社内人気の高さもうかがわせる。昨今は「パンフレットやノベルティのデザインにいおたろを使わせてほしい」と各所から依頼を受けるそうだ。癒やしというテーマから脱線した使われ方をされないよう、ガイドラインを設けて監修しつつ要請に応えているという。

販促物のデザインに「いおたろ」を使わせてほしい、という社内要請もあるそう
販促物のデザインに「いおたろ」を使わせてほしい、という社内要請もあるそう

競技場を走った距離=カレンダー配布数

   課題に感じているのは、「フォロワーが増えたら、ファンも増えるとは一概に言えない」点だと語る。必ずしもフォロワー全員が、会社やアカウント、いおたろを熱量高く応援するファンとは限らないのだ。そこで、コアファン獲得のために重要だと捉えているのが、(1)見る人を巻き込む仕掛けがあり、(2)取り組む側が体を張る企画づくりだという。

   年に一度のビッグイベントとして精力的に実施しているのが、いおたろデザインの「卓上カレンダー プレゼント」企画。二人が特に「やりがいがあった」と、感慨深そうに振り返ったのは19年11月に実施した「猪突猛進!体当たりカレンダー」イベントだ。当時、ツイッターの運用メンバーだった前任者がペンギンに扮して競技場をマラソンし、走行距離で卓上カレンダーの当選者数を決めた。結果7653m走り、カレンダーを7653人にプレゼントできた。

「自分が正式にツイッター担当者になる前の話ですが、企画メンバーの4人で構想から実況ツイート、動画撮影・編集、モーメント作成まで全力で行いました。当日、ただ走り続けるのはつらいので、マラソン中にパワーアップタイム(10分間)を設け、自転車に乗れる・イノシシに追いかけられる・三輪車に乗れる、という3項目で投票を募るなど、ユーザーに参加してもらえる工夫を凝らしました」(Aさん)

   「目が離せなかった」「本気でやっていてすごい」と好反響が得られたのもさることながら、Aさんは「とにかくやっていて楽しかったですね」と笑顔を浮かべた。見る人だけでなく、企画側も楽しむ大切さを感じたという。面白そうに取り組む姿こそ、一番の広告と言えそうだ。OさんとAさんは「コロナ禍で難しくなってしまったが、いおたろをもっとリアルイベントに連れ出したい」と考えており、プロモーションの機会をうかがっているという。

   愛らしいマスコットキャラクターも、作っただけでは受け入れられない。まずは社内で理解者を増やしてから社外にリーチし、フォロワーを巻き込んだ企画でファンを作るという、堅実な運用の成功例を見た。

各企業公式ツイッターアカウント担当者(通称:中の人)をJ-CASTトレンド記者が突撃取材。「業務」として日々ツイッター運用に取り組む担当者たちの魅力を紹介する。
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