2億円かけてシステムを再構築
「ランサムウエア」による被害は世界各国で再三報じられている。ターゲットになるのは主に大企業。ところが、つるぎ町は人口7000人ほど。吉野川の清流のほとりにある小さな町だ。病院が所在する半田町は、「半田そうめん」の産地として知られる。国際的な犯罪組織のターゲットになる理由がない。したがって、なぜ半田病院が攻撃されたのか、などは不明だ。
ただし、日経新聞によると、病院へのランサムウエア攻撃は世界で相次いでいる。20年5月に英国の複数の病院が攻撃を受けてシステムが停止し、手術のキャンセルなどに追い込まれたほか、9月にはドイツの大学病院が攻撃され、患者を別の病院に搬送するなどした。 日本では半田病院以外にも、17年に福島県立医大病院(福島市)、18年に奈良県の宇陀市立病院でランサムウエアの攻撃が確認されたが、海外に比べ被害件数は少ないという。
読売新聞は11月27日、「徳島の病院 身代金拒否 サイバー攻撃被害 新システムで再開へ」という続報を掲載。2億円かけてシステムを再構築し、停止していた新規患者の受け入れを来年1月4日に再開する、と最新状況を伝えた。今のところ、当初の脅迫文のほかに連絡はなく、個人情報の流出も確認されていないという。
ともあれ世界の病院は、新型コロナだけでなく、ランサムウエアという身代金要求ウイルスにも警戒を強いられているのが現状だ。