味覚・嗅覚の喪失はない
オミクロン株の感染者の症状が比較的軽いということは、南アの医療関係者が当初から強調している。 TBSは11月29日、「症状のほとんどは、1日か2日続く強い疲労感、その後、頭痛や体の痛みです」という南アフリカ医師会 コエツィ会長のコメントを報じている。
同会長は、「今のところは」と前置きしたうえで、重症患者は出ていないとして、この段階でパニックになる必要はないと述べ、南アフリカなどアフリカ南部諸国からの渡航を禁止する国が相次いでいることについて「釣り合わない対応だ」と苦言を呈していた。
同会長は、症状は倦(けん)怠感や頭痛、体の痛み、まれに喉の痛みや咳であり、血中酸素濃度の低下や味覚・嗅覚の喪失といったデルタ株の症状とは違っていたと語っている。
NHKによると、オミクロン株による症状の程度などについて、WHO(世界保健機関)は「まだ詳しくはわかっていない」とする一方、「数週間と言わず、今後数日でより多くの情報が得られる」との見通しを示している。
日本の医療関係者の間では、今のところ重症者は確認されていないとはいえ、今後、感染が急拡大し、感染者数が増えると、一定の割合で重症者も出てくるので、警戒を緩めるべきではない、との声もある。
ブルームバーグも11月30日、「重症度について何らかの発言をするのは時期尚早だ。新型コロナ感染症で重症化する人は20%にすぎず、疫学的研究が必要だ。また、入院と集中治療室への収容は発症から遅れる。通常、発症後1週間は軽い症状の状態にある」というニューサウスウェールズ大学(シドニー)のライナ・マッキンタイア教授(バイオセキュリティー)の見方を伝えている。