今回の衆議院選挙では、大手マスコミの選挙予測にインターネットが大々的に使われていた。20年ぶりの手法変更だという。選挙の世論調査は近年、主として電話調査で行われていたが、各社とも回答率の大幅な低下に悩んでおり、ネット時代に即した新たな調査方法の確立が課題になっていた。
電話調査と組み合わせる
今回の衆院選で、インターネットを利用した選挙調査を行ったことについては、朝日新聞社が2021年10月26日に紙面で明らかにしていた。さらに、11月12日の「世論調査のトリセツ」という記事で詳しく説明している。
それによると、今回は、インターネット調査と電話調査を組み合わせる形で、選挙情勢を予測した。2001年参院選時に、コンピューターで無作為に作成した電話番号にかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式の電話調査に完全移行して以来、20年ぶりの手法の変更だという。
今回のネット調査は、調査会社に登録したモニター会員を対象にした。ただし、この方式だと、有権者の中から無作為に対象者を選ぶわけではないので、世論調査とは違った「偏り」が出てしまう。そのため17年の衆院選と19年の参院選で、一部の選挙区を選んでネット調査を試行。並行して実施した電話世論調査の結果を基準にすることで、ネット調査の「偏り」を小さくしたという。「ネット調査の結果を、いったん電話調査の結果に近づけた上で選挙結果を予測する、というイメージ」と説明している。