カス丸 はーい、ぼくカス丸きゃすう。先週のマイルチャンピオンシップはガジュマル爺が久しぶりに▲◎〇で3連複当てたじぇい。今週は無敗3冠馬コントレイルの現役最後のレース、ジャパンカップ(2021年11月28日、東京競馬場、芝2400メートル)きゃすう。ダービー馬が4頭参戦、海外からも有力馬が登場するから結構予想は難しいじぇい。さっそくだけど、爺の本命◎は今年のダービー馬、シャフリヤールきゃすう。天皇賞・秋で3歳馬に負けたコントレイルは今回も3歳馬に負けるという読みだじぇい。
コントレイルに立ちはだかる「3歳」の壁
ガジュマル爺 ダービーとまったく同じコースなので、ダービーに勝った馬から選ぶのが本筋というもんじゃろ。シャフリヤールが他のダービー馬と比べて、唯一有利な点、それは斤量(負担重量)じゃ。生涯一回しか挑戦できないダービーというレースを勝つというのは、同世代のチャンピオンなんだから底力はいずれも甲乙つけがたいものを持っておるはずじゃ。違う点といえば、3歳馬だけに与えられる斤量が軽いということ。それだけじゃ。典型的なのは、いまから9年前のジェンティルドンナが凱旋門賞で2年連続2着という記録をもつあのオルフェーブルに勝ったときじゃ。3歳牝馬のジェンティルは斤量53キロ、オルフェーブルは57キロじゃ。最後の直線で2頭は並ぶように先頭に抜け出しゴールまでマッチレースという大接戦でハナ差勝利だったんじゃ。直線入口でジェンティルがオルフェーブルにぶつかるようになったもんじゃから、反則との声も上がったんじゃが、結局裁定は問題なしで決着したんじゃ。こうやって超一流馬同士の決戦というのは、ほんのちょっとしたこと、このときでいえば斤量差なんじゃ。さて、シャフリヤールはダービーで見せた強烈な差し脚が持ち味じゃ。前走の神戸新聞杯(GII、中京2200メートル)は雨の不良馬場で伸びきれず4着と馬券圏内(3着以内)を外して株を落としたんじゃが、それをいうならコントレイル(2020年のダービーを含む3冠馬)も今年春の不良馬場だった大阪杯で負けておるんじゃから似たようなもんじゃろ。ともかくシャフリヤールの55キロという斤量はじつに有利なはずじゃ。勝ったダービーでは57キロを背負っていたわけじゃから。コントレイルはじめ他のダービー馬、ワグネリアン(19年のダービー馬)、マカヒキ(16年のダービー馬)は57キロじゃから、ダービーの走りを再現すれば楽勝というもんじゃ。鞍上なんじゃが、福永祐一騎手がコントレイルに乗るために川田将雅騎手に乗り替わるが、かつてマカヒキでダービージョッキーになった彼は、この間のブリーダーズカップ(BC)で米国GIの勲章を手にしたばかりじゃから、まったく問題ないはずじゃ。
カス丸 まあ、シャフリヤールは有力候補の1頭に間違いはないきゃすう。穴狙いのカスヨ姉さんの本命◎は外国馬ブルームだじぇい。2005年にアルカセット(英)が勝って以来、もう15年間も外国馬の優勝はないきゃすう。この馬も実績はすごいけど日本の芝に合ってるかどうか、わからないじぇい。
カスヨ そうね、見究めるべきはそこなのよ。東京競馬場は10月頭からの開催が続いていて、先週からCコースを使い始めたわね。先週のレースを見ると、2200メートルを超えるところでは先行した馬が勝つ傾向があるから、先行したほうがいいわね。まあ、この辺りはダービーでもジャパンカップでもいつも言われていることなんだけど。去年勝ったアーモンドアイもいち早く先頭に抜け出し、その後をコントレイルなどの無敗3冠馬が追いかけたんだけど捕まらずっていう展開だったわ。今年も似たような傾向ということね。それで芝なんだけど、どの程度軽いかが問題ね。かつてアーモンドアイが世界記録を作った3年前のジャパンカップでは、本当に軽い芝だったんだけど、先週のレースを見る限りはそれほどでもない感じなのね。だから重い芝が得意の外国馬も付け入るスキがあると思うわ。で、ブルームなんだけど、この馬はこの間米国で行われたBCターフで2着に好走したわ。舞台になった米西海岸のデルマー競馬場というのは、ヨーロッパのような重い芝よりも時計が速くなりがちな日本の芝に近いと言われていたわね。つまりスピードが問われる馬場に対応できたということで、日本の高速馬場への目処もついたと考えられるわけ。父のオーストラリアの父が欧州最強馬といわれたガリレオで、父の母がウィジャボードといって、ディープインパクトが勝利した2006年のジャパンカップの時の3着馬なのよね。だから血統的にも適性は十分あると思うわ。脚質についていうのを忘れたけど、初めてGI制覇したサンクルー大賞(フランス)では逃げ切り勝ち。BCターフでは中団からの差しという具合に自由自在の脚をもっているから大丈夫よ。
カス丸 ふーん、その読みどおりなら結構おもしろいきゃすう。でも、15年も勝てない外国馬というのは、いまいち信用できないところがあるじぇい。爺の対抗〇は、やっと出てきたコントレイルきゃすう。天皇賞・秋では不覚をとったけど、今度も優勝できないというのは、どういう根拠だじぇい?
ガジュマル爺 改めて言うまでもなく、コントレイルは無敗3冠馬。ディープインパクトが遺した「最強の仔」といっていいじゃろ。デビュー以来、10戦7勝2着2回3着1回は14戦12勝だった父に比べると見劣りはするが、すべて馬券圏内という強さじゃ。走ったレースの多くがGIじゃ。じゃが、古馬(4歳以上)になってから勝利がないことが不安材料なんじゃ。確かに不良馬場といった悪条件なんかがあったんじゃが、勝利がないのは事実じゃ。1着を外した去年のジャパンカップ(優勝アーモンドアイ)から3戦連続で勝利から遠ざかっておるのが気がかりじゃ。前走の天皇賞・秋も勝てるはずと踏んだんじゃが、エフフォーリアを捕えきれずに終わってしもうたのが気になるんじゃ。鞍上は主戦、福永祐一騎手。今回は引退レースじゃ。内枠有利の東京2400メートルで1枠2番を引き当てる運の強さもある。もちろん、あっさり勝つことがファンの夢じゃろうし、そうなっても不思議はないと思うんじゃが、「強い3歳馬」に足元をすくわれる可能性も小さくないという懸念が同時に浮かんでくるんじゃ。じゃから、そういうときは対抗〇までということじゃな。
カス丸 ふーん、現役最強馬は最強馬でないきゃすう? いまいちよくわからないじぇい。カスヨさんの対抗は、これまた穴狙いのユーバーレーベンきゃすう。爺の話のジェンティルドンナみたいにうまくいくのかどうか、わからないじぇい。
カスヨ 斤量といえば、こちらも有利よ。なんといっても53キロなんだから。オークスを勝利した後に、左前脚の屈腱部というところに軽い炎症がおきて、前走の秋華賞はぶっつけで13着と大敗したんだけど、得意の東京コースで実施されるジャパンカップを見据えた叩き台だった可能性があるわね。症状は良くなったようだし、今回は上積みが見込めるのが強みだわね。過去10年、ジャパンカップにおける3歳牝馬の成績は1着2回(アーモンドアイ、ジェンティルドンナ)、2着2回(カレンブーケドール、デニムアンドルビー)、3着1回(デアリングタクト)と好成績続きよ。牝馬だからといって軽視すると痛い目にあうわよ。
カス丸 体調含めて態勢が十分整ったかどうかがキモだじぇい。さてジャパンカップはあまり荒れるというイメージがないけど、今回はどうみたらいいきゃすう。
外国馬は他の2頭も適性あり?
カスヨ 穴狙いの私としては、もう一頭、外国馬をあげておくわ。ジャパンよ。A.オブライエン厩舎(アイルランド)がブルームとともに送り込むもう1頭の刺客ね。パリ大賞、インターナショナルステークスのGI2勝は実績として十分。前走のBCターフは4着とブルーム同様に時計の速い馬場に対応できているわ。鞍上はユタカちゃん(武豊騎手)だし、直線が長く、広い東京競馬場で巻き返す可能性があるわね。 次はもう一頭の牝馬、シャドウディーヴァよ。前走の府中牝馬ステークスで待望の重賞初制覇でいまや絶好調。エリザベス女王杯をパスして得意の東京コースで行われるジャパンカップへの参戦を表明。5歳秋、成長が見込めるハーツクライ産駒の一発に期待するところだわ。 最後はダービー馬、ワグネリアンよ。最近、すっかり勝ち星から遠ざかっているんだけど、一昨年はこのレースで3着と力は示しているわ。前走で初めてマイルを使われたことでスピード感が戻っていれば、底力的には十分馬券内は考えられるわよ。
ガジュマル爺 わしもまず外国馬を上げとくぞ。カスヨがあげなかった最後の一頭、フランスのグランドグローリーじゃ。ジャパンカップは人気薄の外国馬に要注意なんじゃ。「孤独の◎(二重丸)」で知られる競馬評論家の亡き清水成駿さんも、よう言っとった。今年の3頭では、この馬が人気薄じゃろ。海外でのレースぶりを見ると、馬場状態が重たい(雨天など、水分を多く含んだ状態)ほうが、この馬にはあっているようなんじゃが、後方から追えば追うほど伸びる持続力のある脚は東京の長い直線にピッタリじゃ。牝馬ながら、パワーもあるぞ。8月のジャンロマネ賞(GI、仏2000メートル)では後方から追い込み優勝。2着が2020年のブリーダーズカップフィリー&メアターフ(GI、米国2200メートル。今年ラブズオンリーユーが優勝したレース)の勝ち馬アウダーリャだったことを考えると価値があるというもんじゃ。前走10月のオペラ賞(GI、仏2000メートル)も中団から脚を伸ばして2着と好走しとる。調子は上向いておるし、左回りは5戦して3勝2着2回とすべて連対しとる点にも注目じゃ。 次はキセキじゃな。18年のジャパンカップを覚えておる人も多いじゃろ。あのアーモンドアイとの対決じゃ。スタートから果敢に逃げて、勝ったアーモンドアイの2着にがんばった。前走の京都大賞典(GII、阪神2400メートル)は4コーナーを3番手で回るとそのまま3着(1着はマカヒキ)に踏ん張った。今年7歳馬と往年の力がなくなってきておるかもしれんが、逃げて粘り込む戦法がハマればアーモンドアイがいない今回なら面白いはずじゃ。鞍上のベテランの和田竜二騎手の思い切った騎乗に期待じゃな。 最後はオーソリティじゃな。3歳クラシック(皐月賞、日本ダービー、菊花賞)には縁がなかったが、2歳時から、その実力は高く評価されてきた馬じゃ。昨年のアルゼンチン共和国杯(GII、東京2500メートル)を勝って、有馬記念(GI、中山2500メートル)に挑戦したが14着と大敗。それでも今年のダイヤモンドステークス(GIII、東京3400メートル)で2着に入るなど、長距離に適性があることを証明したんじゃ。東京コースは3勝2着1回と、この馬にとって相性がいい。前走のアルゼンチン共和国杯は天皇賞・春以来の休み明けじゃったが連覇達成じゃ。鞍上はトップジョッキー、クリストフ・ルメール騎手じゃ。ここは果敢に先行して粘り込む脚で一発狙ってほしいところじゃ。
カス丸 ふーむ、いろいろいるじぇい。でもここは東京競馬場も晴れ予報で芝も軽くなるだろうし、現役最強馬コントレイルが本来の力発揮とみて本命◎きゃすう。