カス丸 はーい、ぼくカス丸きゃすう。先週のエリザベス女王杯は伏兵の台頭で誰も当たらなかったじぇい。今週はマイル(約1600メートル)のチャンピオンを決めるマイルチャンピオンシップ(2021年11月21日、阪神競馬場、芝1600メートル)きゃすう。先週は内回りだったけど、今度は外回りの直線が長いコースだから末脚が鋭い馬が強いといわれているじぇい。カスヨ姉さんの本命◎はカテドラルきゃすう。末脚自慢の一頭だじぇい。でも、この超一流クラスが集まったメンバーで勝てるきゃすう?
グランアレグリアの心配な点
カスヨ カス丸、穴党の私としては、先週の結果が悔しくて仕方ないのよ。三連単339万円よ。これだけあったら「GOTO」なんかなくたって、最高級のリゾートホテルに泊まって、毎晩グルメ三昧の旅行ができるわ。なんで失敗したのか、相当反省したわ。第一に不安のある人気馬は切るってことね。エリザベス女王杯では、1番人気レイパパレが距離不安、2番人気アカイトリノムスメは激走したばかりでの反動不安。これは指摘したんだけど、3番人気のウインマリリンは右前脚の腫れがあって本調子でなかったわ。これらがもろに出たわね。ウインマリリンなんかは可哀そうにブービー(15着)よ。人間さまのやることは、稼ぐことばかり頭にあって、馬のことは考えてないのよ。今週だって、これは同じよ。ここんところを見究めないといけないわね。先ずは恒例のコース説明よ。阪神のマイルコースは、第二コーナー付近からスタート。外回りコースなので、カーブは大きいんだけど、カーブ自体は緩やかね。そして残り3ハロン(600メートル)辺りからが下りになっていてダラダラと2メートルほど下り、残り200メートルから一気にこの2メートル分を駆けあがって、ゴールというコースだわね。直線が473メートルもあるから内回りを使ったエリザベス女王杯よりも100メートル以上も長いわ。2歳チャンピオンを決める朝日杯フューチュリティステークスや阪神ジュベナイル、クラシックの桜花賞の舞台だわね。そんな2,3歳の重賞だと、前半が速くなるんだけど、古馬(4歳以上)の重賞の阪神牝馬なんかでは前半が遅く、後半が速いという後傾ラップになりがちね。今回のメンバーを見ても、とんでもなく速く逃げる馬がいないから、後傾ラップになるんじゃないかしら。となると、先行して押し切るだけの末脚を持った馬か、中団待機で強烈な末脚を発揮できる差し馬かの勝負になるわ。それともう一つ、先週勝ったアカイイトだけど、レースを見てるととんでもなく末脚が速くみえたんだけど、上がり3ハロン(最後の600メートルのタイム)がなんと35秒7というビックリするような遅さなのよね。つまり今の阪神コースは、良馬場でもすごく上りがかかる芝が重いコースになってるということ。ここが肝心なのよ。重い芝でもどんどん走れるパワーが必要ということね。以上の点を踏まえると、カテドラルが本命になるっていうわけよ。えっ?1番人気が予想されるグランアレグリアは本命じゃないのかって?グランアレグリアはね、今回大きい不安を抱えているわね。それはレース間隔よ。グランアレグリアは3歳のときに、NHKマイルに出たのよ。このときは桜花賞に勝って、中3週でのレースだったんだけど、最後の直線で苦しくなって斜行して他馬を妨害して4着入線ながら5着降着となったのよ。その後は少なくとも中6週は空けて、レースをするようになり、だいたい連対(2着以内)するという好成績を続けてきたのよ。ところが、今年になって中2週というレース間隔があったのね。5月のヴィクトリアマイルから6月の安田記念にかけてだわね。ヴィクトリアマイルは圧勝だったけど、安田記念は2着だったわ。それで今回も10月末の天皇賞・秋から中2週というローテーションなのよ。ハッキリ言って疲れが取れてないと思うわ。調教見てても、元気なんだけど、やはり強く追ってないわね。1200から2000メートルまでのGI奪取で引退を、という人間さまの欲望通りに競馬はいかないわよ。それが失敗に終わって、得意のマイルで有終の美、という作戦なんだろうけど、馬だって生きものなのよ。先週の教訓として、不安のある馬は本命にはできないわ。
カス丸 ふーっ、今週はカスヨさんの大演説だじぇい。たしかにローテーションは大事きゃすう。いつもは1番人気を本命にするガジュマル爺でさえ、今回の本命はシュネルマイスターだじぇい。1番強い馬を本命にするという爺にとって、グランアレグリアは1番じゃないきゃすう?
ガジュマル爺 カスヨと違ってわしはグランアレグリアが勝つチャンスは十分あると思っておるんじゃ。しかし、今回はそれを上回って強い馬がおるんじゃ。それがシュネルマイスターじゃ。今年の3歳馬は強い。その中のマイル王じゃ、この馬は。今年のNHKマイルカップ(GI、東京1600メートル)で2着のソングラインを猛然と追い込み、ハナ差でかわして優勝。続くGI、安田記念(東京1600メートル)は古馬との初対戦ながら、ダノンキングリー(1着)、グランアレグリア(2着)に続く3着と、能力の高さを証明してみせたんじゃ。ひと夏越しての秋。前走の毎日王冠(GII、東京1800メートル)では4コーナー10番手から33秒0の豪脚で安田記念の優勝馬ダノンキングリーらを一蹴し、大きく成長したんじゃ。これまで6戦4勝2着と3着が1回ずつと、すべて馬券圏内という抜群の安定感なんじゃ。確かな末脚に加えて、鞍上もいま乗れている横山武史騎手ならば、初の阪神コースもクリアできそうじゃ。
カス丸 たしかに今年秋のGI戦線で3歳が大活躍してるきゃすう。スプリンターズ、天皇賞・秋では優勝し、先週は2着に食い込んでいるじぇい。でも、そんなに立て続けにいくきゃすう?カスヨさんの対抗〇は5歳のケイデンスコールだじぇい。
カスヨ シュネルマイスターにも不安があるわ。それは初めての長距離輸送よ。美浦(茨城県)所属のシュネルマイスターはデビュー戦が札幌だったけど、その後のレースはずっと中山か東京よ。今回初めて関西に行くわけ。これは初体験なんだけど、これまでどうして関西に行かなかったのかしらね。3歳秋になって初輸送というのは、結構応えるんじゃないかしら。調教を見てると、体はできあがってるように見えるけど、輸送でそれなりに体重が減るから大丈夫かしら、と思ってしまうわね。それに比べて、栗東(滋賀県)所属のケイデンスコールは輸送の心配はないから大丈夫。今年は充実の5歳を迎えているわ。春の成績は京都金杯1着、中山記念2着、読売マイラーズカップ1着と昨年までの不振がうそのような好成績をおさめているわ。安田記念、毎日王冠は末脚が不発になって成績を落としたんだけど、一昨年のNHKマイルカップのように14番人気ながら2着に突っ込んできたように、人気薄の時に意外性を発揮するのがこの馬なのよ。ローテーション的には、今回が狙い時よ。
カス丸 ふーん、3歳馬だけじゃなく5歳馬も忘れるなってこときゃすう。爺はグランアレグリアが勝つかも、と言っておきながら、印は単穴▲だじぇい。対抗〇はこれも3歳のダノンザキッド、そんなに3歳が強いきゃすう?
ガジュマル爺 カスヨがさっき輸送の話をしておったんじゃが、シュネルマイスターとまったく逆のような馬がダノンザキッドなんじゃ。栗東所属のくせに、デビュー戦だけが阪神で走って、残りの5戦は関東だけでレースしてきたんじゃ。レースのたびに輸送じゃ。馬としてはたまらんかったじゃろ。やっと今回地元で走れるというワケなんじゃ。この馬のポテンシャルは改めて語るまでもなく誰でも知っておるじゃろ。デビュー以来、ダ-ビーを取るのはこの馬とみられてきたんじゃから。2歳時に、東京スポーツ杯2歳ステークス(GIII、東京1800メートル)、ホープフルステークス(GI、中山2000メートル)を勝って、2020年度のJRA賞最優秀2歳牡馬を受賞した馬じゃ。3歳初戦の弥生賞ディープインパクト記念(GII、中山2000メートル)では1.3倍の1番人気で3着に敗れると、続くクラシック1冠目の皐月賞(GI、中山2000メートル)でも1番人気ながら15着に沈んだ。やはり輸送の疲れが出たんじゃろ。レース直前になると、発汗したりして精神的に不安定になったもんじゃ。今年の秋初戦も関東への輸送じゃったが、富士ステークス(GII、東京1600メートル)で4着。それまでの先行するスタイルから、後方一気の脚をみせて復調をアピールしたんじゃ。一瞬の脚で勝つというのでなく、上りがある程度かかる芝が得意なのも今の阪神にピッタリのはずじゃ。鞍上も、ラブズオンリーユーを米GI馬に導いた川田将雅騎手じゃから、デビュー戦以来の阪神で本当の力を見せつけるはずじゃ。
カス丸 ふーん、シュネルより強そうだじぇい。さて、先週に続き今週も荒れるGIになるのかどうか、伏兵はどんなのがいるきゃすう?