「アビガン」米国で「優位性を確認できず」 新型コロナの治療薬として期待も

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   新型コロナウイルスの治療薬になるのではないかと期待されていた富士フイルムの抗ウイルス薬「アビガン」が、難しい状況になっている。カナダの開発協力企業が「優意性を確認できなかった」ことを明らかにしたのだ。

   日本の薬品業界では、ワクチン開発の先陣を切っていた大阪の新興創薬会社「アンジェス」が、開発の遅れを認めたばかり。

  • 国産治療薬の開発、今後の行方は(写真はイメージ、本文とは関係ありません)
    国産治療薬の開発、今後の行方は(写真はイメージ、本文とは関係ありません)
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国内開発は継続する考え

   「アビガン」は、富士フイルムの子会社が新型インフルエンザ治療薬として開発した抗ウイルス薬。新型コロナに対しても有効ではないかということで研究が進められていた。富士フイルムはカナダの製薬会社アピリ・セラピューテックス社を通じて米国で臨床試験(治験)をしていた。

   日経新聞によると、アピリ社は2021年11月12日、最終段階の治験で「統計的な有意性を確認できなかった」と発表した。

   富士フイルムは「追加の詳細な解析データを待ちたい」とコメント。国内開発は継続する考えだというが、日経新聞は「米国での実用化が事実上困難になったことで、道のりは厳しくなりそうだ」と指摘している。

   製薬業界に詳しいサイト「AnswersNews」によると、アビガンについては昨年10月、新型コロナウイルス感染症への適応拡大が申請されていた。厚生労働省の専門家部会は同12月21日、「現時点で得られたデータから有効性を明確に判断するのは困難」として承認を見送ったが、実施中の臨床試験結果が提出され次第、あらためて審議する、ということになっていた。

国産ワクチンでも異変

   新型コロナの治療薬は、富士フイルムなど数社が研究開発を進めている。しかし、米国のメルク社やファイザー社が開発済み。メルク社製はすでに英国で承認されている。日本政府は同社の製品160万回分を約1300億円で購入する意向だ。

   日経新聞は「アビガンを実用化するには、効果などで先行薬よりも優れた点を示すことが求められそうだ」と書いている。

   コロナに関しては、先ごろワクチンの遅れも報じられた。早くから開発に取り組み、治験でも先頭を走っていたはずのアンジェス社が、11月5日、治験で十分な効果を得られなかったと発表した。治験に参加した計560人分のデータを分析した結果、先行する米ファイザー製やモデルナ製などに比べて効果が低いことが分かり、最終段階の治験を断念したという。

   新薬や新ワクチンの開発には膨大なコストやエネルギーを要するが、このところ「国産」の足踏みを伝える報道が目立つ。

   ただし、塩野義製薬については、日経新聞は11月10日、「新型コロナウイルスの飲み薬やワクチンの開発に経営資源を集中する。約700人いる研究者の8割を新型コロナ関連に振り向け、飲み薬は2021年内の承認申請を、ワクチンは22年3月までの実現をめざす」と報じている。

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