「愛読書はなんですか」。コロナ禍での企業の採用面接で、この質問が増えたという。読売新聞(電子版)2021年11月14日付記事によると、「企業の採用選考の面接では、能力や適性に関係がない質問だとして『NG』とされる」。
つい愛読書をたずねてしまいそうだが......。J-CASTトレンドは、大学ジャーナリストの石渡嶺司さんに詳しく聞いた。
「学生運動」の名残
先の読売の記事によると、滋賀県教育委員会が高校生を対象に行なった調査で、「愛読書を尋ねた事例が昨年度は前年度の3倍近くに増えた」という。この質問は、厚生労働省のウェブサイトに「思想信条の自由」に関わる不適切な質問として例示されている。
ツイッター上では、「逆に何なら質問していいの」と当惑する投稿、そもそも趣味に読書と書くのがいけないのかという疑問が見られた。
石渡氏によると、「愛読書」が質問禁止事項になっているのは、「学生運動」の名残だという。一見すると問題なさそうだが、本のタイトルなどを聞くのは本人の思想信条を探ることにつながりかねず、「アウト」となる可能性が高い。
ただ、文学を専攻する就活生なら、愛読書を答えるのは自身の大学での学びをアピールするチャンスになりそうだが――。
それでも石渡氏は、面接官にとって「本来は聞いてはいけない質問」であり、「やめた方がいい質問であることには変わりない」とした。