火鍋チェーン「海底撈」300店舗閉鎖へ 日本は営業再開したばかりでどうなる

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コロナ禍も800店舗以上「逆張り」出店

日本の店舗は、緊急事態宣言中は軒並み休業し、10月に営業を再開
日本の店舗は、緊急事態宣言中は軒並み休業し、10月に営業を再開

   ではなぜ、今回の大量閉店に至ったのか。張勇氏は2021年6月の決算会見で、「2020年6月時点で、コロナ禍は9月に収束すると考え、規模拡大のチャンスととらえた。それがアジアではいまだに収束する気配がない。今思えば当時の判断が楽観的すぎた」と判断の誤りを認めていた。

   決算資料などによると、海底撈はコロナ禍でテナント料が下落したのを「投資の絶好機」とみて、逆張り戦略で2020年に544店舗、21年上半期に299店舗を新たにオープンした。つまりこの1年半で店舗数を一気に倍増させたのだ。

   だが、中国では感染はさほど拡大していないものの、「ゼロコロナ戦略」の影響で、クラスターが発生すれば即営業に支障が出る状況が今も続いている。また、急激な規模拡大でスタッフの育成も追いつかず、経営効率やサービスの質も低下したという。

   海底撈の11月10日時点の時価総額は約1125億香港ドル(約1兆6447億円)で、今年2月のピーク時から4分の1まで落ち込んでいる。

   今回の大量閉店発表で気になるのは日本の状況だ。日本の店舗は、緊急事態宣言中は軒並み休業しており、10月に営業を再開した。中国の飲食企業にとって海外店舗はブランディングの役割もあり、中国店舗と同じ基準で撤退することはないだろうが、「行ってみたいと思っていたが、コロナ禍でなかなかチャンスがなかった」という人は、今のうちに足を運んだ方がいいかもしれない。

【連載】浦上早苗の「試験に出ない中国事情」

浦上早苗
経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員。福岡市出身。近著に「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。「中国」は大きすぎて、何をどう切り取っても「一面しか書いてない」と言われますが、そもそも一人で全俯瞰できる代物ではないのは重々承知の上で、中国と接点のある人たちが「ああ、分かる」と共感できるような「一面」「一片」を集めるよう心がけています。
Twitter:https://twitter.com/sanadi37
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