将棋の藤井聡太3冠(19)=王位、叡王、棋聖=が2021年11月13日、第34期竜王戦で豊島将之竜王(31)に勝って竜王になった。19歳3か月で史上最年少の4冠に。獲得賞金総額も大幅に増えて、「1億円プレーヤー」になるという。世間では10代で1億円を稼ぐ人はまれだが、他のプロスポーツと比べてどうなのだろう。
竜王戦は賞金額が高い
将棋の8大タイトルの中でも、竜王戦は優勝賞金額が高いことで知られる。4400万円。竜王戦以外の賞金・対局料は非公表だが、各棋士の年間獲得額については、日本将棋連盟が公表している。2020年は以下の通り。(カッコ内は2019年の獲得額/単位は万円)
1位:豊島将之竜王 10,645(7,157)
2位:渡辺明名人 8,043(6,514)
3位:永瀬拓矢王座 4,621(4,678)
4位:藤井聡太王位・棋聖 4,554(2,108)
5位:広瀬章人八段 3,241(6,984)
6位:羽生善治九段 2,491(3,999)
7位:久保利明九段 2,421(2,178)
8位:木村一基九段 2,338(3,209)
9位:丸山忠久九段 1,926(1,017)
10位:千田翔太七段 1,692(1,080)
スポニチアネックスによると、藤井さんは昨年、棋聖、王位の2冠を奪取したことで前年の倍以上となる4554万円を獲得した。今年はこの2冠に叡王が加わり、さらに優勝賞金750万円の朝日杯も制している。また順位戦ではB級2組から同1組に昇級し、段位も7月の棋聖防衛で九段に昇段したため、対局料などの「基本給」が20~30%アップ。竜王位獲得前までの対局料・賞金合計は7000万円前後と推定される。
この額に竜王位の4400万円を加えると軽く1億円超えとなる。ただし、賞金額の加算はどのタイトル戦も就位式が基準。竜王戦は例年1月中旬に就位式を行うため、4400万円は22年にカウントされる。藤井さんは同年に3冠を維持するなど今年同様の成績を残せば1億円プレーヤーとなる計算だという。
スポニチの計算では触れていないが、このほかCM出演料なども年収に加算されることになりそうだ。
井山裕太棋聖は10年連続1位
将棋と対で話題になることの多い囲碁も、日本棋院が賞金ランキングを公表している。2020年の獲得賞金は以下の通り。
1位:井山裕太棋聖 1億2851万9,441
2位:一力遼天元 4860万9332円
3位:芝野虎丸王座 4741万2860円
4位:藤沢里菜女流本因坊 2741万30円
5位:河野臨九段 2692万7300円
6位:山下敬吾九段 2099万3400円
7位:許家元八段 2096万2681円
8位:上野愛咲美扇興杯 1754万5862円
9位:張栩九段 1196万9,400円
10位:羽根直樹九段 1172万2000円
井山裕太棋聖は10年連続10回目の1位だ。女流棋士の1位は藤沢里菜女流本因坊で4年連続5回目。
プロ野球は平均年収が高い
他のプロ競技はどうなのか。プロ野球の年俸も毎年話題になるが、推定にとどまる。トップ級は9憶円前後とされ、将棋や囲碁とは比較にならない。しかも、プロ野球はかなりの年収を得ている人が多数存在する。
労組日本プロ野球選手会(炭谷銀仁朗会長=楽天)は21年6月14日、今季の日本人選手の年俸調査結果を発表している。
朝日新聞によると、年俸総額は約304億7000万円で昨季からほぼ横ばい。平均年俸は前年比0.4%減の4174万円。球団別ではソフトバンクが平均6932万円で2年連続トップだ。
調査は今季の開幕日(3月26日)時点で、選手会所属の支配下選手730人の自己申告によるもの。球団別順位で2位の巨人、3位の楽天は昨季と変わらず。楽天は大リーグから復帰した田中将大投手の加入などにより、平均年俸は前年比15.4%増で過去最高となった。西武も過去最高額で4位に浮上した。
阪神はベテラン選手の引退や退団などにより前年比25.3%減。平均1000万円近い減額で11位に降下した。12位はオリックスで、ソフトバンクとは2.6倍以上の「格差」がついたという。
将棋や囲碁の場合は、頂点の一人に賞金総額が集中するが、さほど高くはなく、タイトルを失うと、一気に収入が下落する。プロ野球の場合、最近は高卒の新人でも、「契約金1億円プラス出来高払い5000万円、年俸1600万円」というケースがあり、スタート時から藤井4冠並みの厚遇だ。
プロゴルフでは、女子の高収入ぶりが目立っている。日本女子プロゴルフ協会の今年の「年間獲得賞金ランキング」(11月14日更新)によると、1億円を超えているのが13人、2億円超えも2人いる。