日本の女子中長距離界では、若手の急成長ぶりが目覚ましい。東京五輪でも入賞者が相次いだ。中でもこのところ注目されているのが拓殖大学1年生、不破聖衣来(ふわ・せいら)選手だ。まだ18歳だが、レースでの快走が続いており、2024年のパリ五輪に向けて陸上関係者の期待は大きい。
大学駅伝で一躍注目
2021年11月14日に開かれた第36回東日本女子駅伝。不破選手は群馬県チームのアンカーとして最終9区(10キロ)に出場した。3位でタスキを受けたが、5キロも走らないうちにトップとの40秒近い差を詰めて抜き去り、優勝のテープを切った。途中で何度かギアを入れ替える余裕の走りだった。
不破選手が一躍注目されたのは、10月31日に開かれた全日本大学女子駅伝だ。各大学のエースが集まる最長区間の5区(9.2キロ)を28分0秒で走り、区間記録を1分14秒も大幅更新した。1人また1人と先行する選手を抜き去り、チームを一気に9位から3位に押し上げた。
1万メートルのレースに換算すると、30分台という好タイム。テレビ中継されていたので、異次元のスピードに目を奪われた陸上ファンが多かった。
「拓大に驚速1年生」「驚異的な走り」(スポニチ)
「パリ五輪に新星」(スポーツ報知)
スポーツ各紙も取り上げ、当日のテレビ解説を務めた高橋尚子さんも「スター誕生」と期待を込めた。日刊スポーツは、「SNS上も沸騰。ツイッターでは『半端ない』『次元が違う』『怪物』『名前もヒロイン』と、大絶賛祭りとなった」と伝えた。
小柄だが、中距離選手のような大きなストライド。陸上選手のお手本のような滑らかなフォームで淡々と走る。練習やレースで苦しいと思ったことはないというのも驚きだ。