温州みかんがスーパーマーケットで多く出回り始める季節だ。甘みの強いみかんの見分け方といえば、色合いの濃さで判断するのが有名な方法だろう。
ところで、皮がでこぼことしたみかんを見たことはあるだろうか。見た目こそきれいではないが、実はこうしたみかんは「菊みかん」と呼ばれ、濃厚な味を持つという。
知る人ぞ知る菊みかん
香川県内で温州みかん栽培面積1位を誇る三豊市は、公式サイト上で「菊みかん」について解説している。渇水の起きた年に生まれるみかんで、特定の品種を指すわけではない。でこぼことした皮が菊の花びらに似ていることから「菊みかん」と呼ばれているという。
市場では「2級品扱い」だが、これが「甘みと酸味がうまく凝縮されていて濃厚な味」なのだとか。
三豊市の農林水産課に取材した。菊みかんは「知る人ぞ知る」ややマニアックな存在だが、みかん農家の間では広く知られているという。
みかんは、栽培時の降雨量が実の水分量に影響し、味を左右する。渇水の影響で生まれやすい菊みかんは適度に水分が抜けており、サイトの説明通り濃い味わいを特徴とする。また、皮が薄くむきやすいとのことだ。
またみかんの酸味は木の状態や土地によって強弱があるが、菊みかんの場合は甘みが特に強いため、酸味も強かったとしても、あまり酸っぱさは気にならないという。
「でこぼこ」は裏側に
渇水の起きた年に特に生まれやすいが、通常の雨量の年にもできることがあり、11月ごろから12月にかけて出回る。普通のみかんより数は少ないものの、香川県内のスーパーマーケットや農産物直売所でたびたび売られている。また菊みかんは香川県に限らず各生産地でも生まれるため、全国のスーパーで出回り得るとのことだ。
注意した方がいいのは、菊みかんでも表側(ヘタ側)の見た目は基本的につるつるとしており、凹凸が少ない。特有のでこぼことした見た目は皮の裏側にわかりやすく現れるため、スーパーで菊みかんを探したい場合はみかんの裏側を見るとよいとした。