「中国はサッカー弱い」五輪金メダルは多いのに W杯予選も勝てない理由

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自国選手が育成されていない

――過去に、監督の力で中国代表は強くなるのではと思った瞬間もありました。2018年ロシアW杯アジア最終予選では、4試合で勝ち点1の最下位だった中国代表を、リッピ監督が就任すると残り7試合を3勝2分1敗と躍進。さすがイタリアをW杯でチャンピオンに導いた監督だと思いました。そのリッピ監督は今回のカタールW杯アジア二次予選で、シリアに敗戦し、辞任してしまいました。

倉田:リッピ監督は退任する時に「良い成績を収めるために必要な要素がなかった」とコメントし、「勝つためには、もっと帰化選手を増やさないといけない」とも発言しました。ここで言う「良い成績を収めるために必要な要素」が、私が先程述べた内容、つまり「自国の選手が育成されていない」ことを強く指摘したのだと思います。これが現在の代表チームの編成に影響を与えていると思われます。
 今回の代表チームは4人の帰化選手を加えてW杯予選に臨んでいますが、一般的には代表チームが上のカテゴリーから強くなることはない。逆に下のカテゴリーから強くなります。中国代表がまず目指すべきは、U-17の世界大会への出場。W杯で勝つためには、育成への注力が必要です。

――確かに、日本がアジア最終予選を勝ち抜いてW杯に初出場した1998年のメンバーは、中田英寿、川口能活、城彰二など、アンダーカテゴリーの世界大会である96年のアトランタ五輪で代表を経験している選手が入っていますね。
 しかし中国も、2005年にU-17W杯ベスト8に入りましたが、以降は結果が出ていません。なぜでしょうか。

倉田:その後の中国があらゆるカテゴリーで世界大会に出場していない事実から、ご指摘の時代に「黄金世代」の才能が集まったのだと思います。アンダーカテゴリーは2~3歳の幅の大会で、特にU-17の大会ではこのようなことも起こりうると思います。一方、W杯は10~12歳の幅の選手でチームが編成されるので、その国の育成レベルが問われます。

文:石井紘人(いしい・はやと)
   ラジオやテレビでスポーツ解説を行う。主に運動生理学の批評を専門とする。著書に『足指をまげるだけで腰痛は治る』(ぴあ)『足ゆび力』(ガイドワークス)など。『TokyoNHK2020』サイトでも一年間に渡り、パラリンピックスポーツの取材を行い、「静寂から熱狂そしてリスペクト」などを寄稿。
   株式会社ダブルインフィニティ代表取締役でもあり、JFA協力、Jリーグと制作した『審判』、日本サッカー名シーン&ゴール集『Jリーグメモリーズ&アーカイブス』の版元でもある。

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