「中国はサッカー弱い」五輪金メダルは多いのに W杯予選も勝てない理由

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   中国。14億の人口とGDP(国内総生産)世界第2位の経済力を背景に、今年(2021年)行われた東京五輪では、38個の金メダルを獲得。首位の米国にあと一個まで迫ったスポーツ大国だ。

   ところが、サッカーはパッとしない。FIFAワールドカップ(W杯)は出場一度だけ、アジアカップでも2004年の準優勝が精いっぱいだ。なぜ弱いのか。

   2011年から中国で指導を行い、「大連阿爾濱」など中国スーパーリーグ(サッカーのプロリーグ)監督を経験、U-15中国代表の監督候補にも浮上したことのある倉田安治氏に取材。中国サッカーの実情に迫る。(インタビュアー・石井紘人 @ targma_fbrj)

  • W杯アジア最終予選の中国代表(写真:AP/アフロ)
    W杯アジア最終予選の中国代表(写真:AP/アフロ)
  • W杯アジア最終予選の中国代表(写真:AP/アフロ)

代表チームの平均年齢が高すぎ

――現在の中国のサッカー熱は、いかがでしょうか。

倉田:サッカー人気はすごいですよ。中国で人気のあるスポーツは卓球、バスケットボール、そしてサッカーです。今回の2022年W杯カタール大会アジア最終予選も、帰化選手を加え代表チームに対する期待が久々に高かったのですが、現状(11月10日現在、1勝3敗でグループ5位)にファンは少し落胆しているようです。

――中国代表は2002年日韓W杯、つまり予選に開催国の日本と韓国がいなかった時しかW杯に出場できていません。中国代表はアジア予選を突破してW杯にいけるレベルではないのでしょうか。

倉田:中国代表が強いか弱いかの前に、このチームは平均年齢が高すぎると思います。平均年齢が上がればプレーのインテンシティ(強度)は下がります。日本戦(9月7日)に先発した中国人選手(帰化選手以外)の平均年齢は、31歳近く。今の中国代表チームには現代サッカーに必要なスピードが欠けていると思います。

――確かに、一般的にも30歳を過ぎるとフィジカル能力が衰えていくと言われています。それを物語るように、インテンシティが高く、プレースピードも速いと言われるイングランド・プレミアリーグの平均年齢は27歳前後。中国の平均年齢31歳は高すぎますね。

倉田:経験と勢いをミックスさせ、チームの平均年齢が27歳くらいになるのが自然だと思います。現代サッカーではよりインテンシティが要求されるので、平均年齢はさらに下がっていくと思われます。中国代表チームは「若手選手が育っていないな」というのが一番の印象。また、欧州の主要リーグでプレーしている選手が1人というのも、中国サッカーの現状を表しています。
 その国のサッカーのレベルを上げるには、育成システム(一貫指導のカリキュラムと大会形式)を整える、指導者養成、そしてトップリーグ(プロリーグ)のレベルアップが必要です。その上でW杯・U-23(五輪)・U-20・U-17といった世界の大会で結果を出すことが大切。加えてW杯で勝つには、選手の欧州主要リーグでの経験が必要な時代になっています。中国サッカーは、これらがまだうまくいっていないと思います。

文:石井紘人(いしい・はやと)
   ラジオやテレビでスポーツ解説を行う。主に運動生理学の批評を専門とする。著書に『足指をまげるだけで腰痛は治る』(ぴあ)『足ゆび力』(ガイドワークス)など。『TokyoNHK2020』サイトでも一年間に渡り、パラリンピックスポーツの取材を行い、「静寂から熱狂そしてリスペクト」などを寄稿。
   株式会社ダブルインフィニティ代表取締役でもあり、JFA協力、Jリーグと制作した『審判』、日本サッカー名シーン&ゴール集『Jリーグメモリーズ&アーカイブス』の版元でもある。

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