日本経済団体連合会(経団連)の十倉雅和会長は2021年11月8日、政府が企業などに呼びかけてきた出勤者数の7割削減という目標は「経済活動に支障となる」との考えを示した。
テレワークについて、働き方改革の一環として「今後も続けるべき」という。一方、出勤数増減の方向性は明確に言及してはいないが、「科学的な知見を踏まえ、見直すべきである」との指摘だ。テレワークが廃止され、満員電車に揺られる日常が戻って来る!?
都営地下鉄では利用者増
東京都内の鉄道路線では、新型コロナの感染拡大期と、状況が落ち着きを見せている最近を比べると、乗客数に差が出ている。
都の新型コロナ感染症対策サイトでは、コロナ禍が本格化する前(2020年1月20日〜24日)を基準として、都営地下鉄4路線の利用者数の相対値(減少率)を公表している。
平日7時30分〜9時30分のピーク時間の減少率を見てみると、1回目の緊急事態宣言中、2020年4月13日〜17日は65.48%減だった。そして4回目の緊急事態宣言の解除直前、21年9月21日〜24日は38.91%減で推移した。
一方、直近のデータである11月1日〜4日の数字は27.23%減に留まった。20年4月以降で、最もコロナ禍拡大前の水準に近づいている。
在宅勤務が減り、出社する人が増えているサインか。J-CASTトレンドは、都内勤務の20代に取材した。
人材派遣会社で営業職として働く男性Aさんの会社ではコロナ禍で、テレワークが実施されていた。だが、コミュニケーション不足などを防ぐため、今年6月から原則出社になったという。自身でも他の社員との意思疎通がうまくいかない場合があるため「テレワークは不要」と考えている。
情報通信業に携わる女性Bさん。週1〜2回でテレワークをしていたが、業務上の都合や会社の命令により、7月中旬から毎日出社している。ただ、Bさん自身も「コミュニケーションが取りやすいため、(出社した方が)業務がしやすいと思っています」。
業種によっては生産性高いと継続
一方、IT企業でエンジニアをしている男性Cさん、コンサルティング会社に勤める男性Dさんはいずれも、取引先企業がテレワークを基本としていることが多いため、自社もそれに合わせ、今後もテレワークを継続していくと話した。営業職の女性Eさんが勤務するIT企業でも、テレワークの方が生産性は高いとの考えから、今後も在宅勤務が続く方針だとした。
一部大企業が出社日数を増やすとの報道もある。11月1日付共同通信によれば、楽天グループはこれまで社員の出社日を原則週3日としていた。一方、11月1日からは東京本社などで出社日を増やし、原則週4日出社に拡大したと報じている。「対面のコミュニケーションを創出してチームワークの向上」を図るのがねらいだという。
また10月30日付日本経済新聞(電子版)によると、東芝は11月から、工場での製造やサービス・保守といった職種について原則出社する体制に切り替える。国内従業員の約3割にあたる約2万人が対象とのことだ。