東京・銀座のランドマークが、VR(仮想現実)の世界にあらわれた。日産自動車は2021年11月、米国発の交流サービス「VR Chat」上に、バーチャルギャラリー「NISSAN CROSSING(ニッサン クロッシング)」を開設した。
銀座4丁目交差点にある同名施設を忠実に再現しているという。J-CASTトレンド記者・J助が、一般公開に先駆けて行われたVR空間上での記者会見に参加した。
再現度の高さに驚いた
会見スタートとともに、建物を包んでいたベールが落とされると、白に縄模様のような特徴的なフォルムが現れた。さっそく1階エントランスへ入ると、EV(電気自動車)の「アリア」がお出迎え。アリアの3Dモデルも忠実に再現されていて、ドアの開け閉めこそできないが、本当の自動車ショールームにいるような気分を味わえる。
誘われるがまま、自分のアバター(分身)を動かして、エスカレーターで2階へ。こちらにも車体が展示されているほか、自動車のラテアートをあしらったエスプレッソが提供されている。フロアには、ちょっと広めのスクリーン付き空間があり、質疑応答はそちらで行われた。
現実世界のNISSAN CROSSINGの内部は、Googleストリートビューでも見られる。会見後に見比べると、再現度の高さに驚いた。窓の外の風景も、周囲の建物に色がないことを除けば、銀座そのものだ。
日産は、このバーチャルギャラリーで新車発表会や講演などのイベントに活用する計画。第1弾として、地球温暖化を題材にした電気自動車によるツアーを2021年中に予定しているという。
「ひとの姿」が目新しく感じる
記者歴10年弱の間に、J助は何度か「大企業の会見」へ参加したが、ここまでアットホームな雰囲気は初めてだ。進行そのものは、現実のそれと大きく違わないが、どことなく柔らかい印象を覚えるのは、多様性あふれる世界と感じるからだろうか。
実はJ助、VR上での会見どころか、VR Chat自体も初体験だった。「身体」の操作はおぼつかないが、だからこそワクワクが感じられる。ふとあたりを見回すと、美少女もいれば、ロボットもいる。一緒に取材した同僚・J子はネコだ。それだけに、登壇した星野朝子・執行役副社長の、全身を3Dスキャンしたというリアルなアバターには、かえって目新しさを覚えた。現実社会だと、そっちが普通なのに――。
ギャラリー開設に向けては、VR界隈での著名クリエイターらが参加し、施設構築からアバター制作、BGMまで演出したという。会見当日の運営も、日産社員だけでなくVRクリエイターとともに行われていた。プレスリリースには、こう書かれている。
「日産は、VR コミュニティの一員として、その普及を応援するとともに、既存の枠組みを超えた新たな情報発信に今後も取り組んでゆく予定です」