ブロッコリーの茎に穴が空いている。一般的に緑色のはずなのに、紫がかっていたり、黄色く見えたりする。こういった株を見つけた時、食べるのが不安で買うのをやめたり、捨てたりしたことはないだろうか。
だが見た目に「変化」があっても、食べても支障ないものも多い。農業法人・安井ファーム(石川県白山市)に取材した。
成長が追いつかなくて穴が
以下4つのうち、「食べてもオッケーブロッコリー」なものはどれか。
(1)茎に穴が空いている(画像1)
(2)黄色くなっている(画像2)
(3)紫がかっている(画像3)
(4)石油や消毒液を思わせるニオイがする
まず(1)。安井ファームの広報担当は、この現象について「花茎空洞症」と説明する。ブロッコリーが急激に成長すると、茎の成長が追いつかなくって穴が空いてしまうのだ。「す」が入るようなものだという。
「病気ではないです。穴以外に、見た目におかしなところがなければ食べても大丈夫ですよ。ちなみに業界用語で『ホローステム』と言います。これは知っていると、売り場で見かけたときに『おっ、ホローステムだな...』と心の内で呟いて楽しめますよ(笑)」(広報担当)
続いて(2)はどうか。これも「食べても問題ありません」と担当者。緑色の色素が抜けて地肌の色が露出することで、黄色く見えるそうだ。
「ブロッコリーは収穫後も呼吸をしています。含まれている養分を消費して息をするので、花芽に含まれる色素(クロロフィル)が分解され、黄化すると考えられています。つまり養分が消費されているサインなので食味は落ちますが、黒くなっていたり、ヌメっていたりしなければ食べても大丈夫ですよ」
紫がかったブロッコリーはむしろ「買って」
(3)については、「食べても問題ない」どころか、「おいしいサインのため、積極的に手にとってほしい」ブロッコリーだという。紫色の正体は、ブロッコリーが寒さから身を守るために生成した「ポリフェノール」の一種だからだ。傷んでいるわけではない。広報担当曰く「ブロッコリーは寒さに耐えた分だけ甘くなる」。なお、茹でると緑色に戻るそう。
また、つぼみ部分だけでなく茎にも紫色が出ることがある。こちらも同様に、食べて良い。
最後に(4)も、食べて問題ない。これも(2)同様、ブロッコリーが「呼吸」するためだという。ブロッコリーは酸素が薄い(無い)状態で呼吸するとガスを出すのだが、これがニオイの原因になる。J-CASTトレンドの2021年9月13日付記事「ブロッコリーから石油や消毒液のようなニオイが... 食べても大丈夫?農家の答えは」で詳述している。