「他国に出る」の意味も
メディアの側も、このことを気にしているようだ。産経ニュースはすでに13年10月22日の「編集日誌」で、「『外遊』は遊びか?」という見出しで取り上げている。
「新聞などでは、議員らの海外出張をよく『外遊』と表記するが、先日、ある大物政治家から『遊びに行っているような書き方だ』と指摘された。広辞苑で調べると、外遊の項目には、『外国に旅行すること』とある。なるほど、仕事での海外訪問を遊びの旅行と一緒にされては気を悪くするだろう」
同じような記事は、朝日新聞が運営するニュースサイト「withnews」(17年10月28日)にも載っている。こちらは「遊びじゃないのよ『外遊』は! トップに課せられた『二つの狙い』」という見出し。朝日新聞の政治部デスクが解説している。
「首相や閣僚ら政治家が外国を訪問することを『外遊』と呼びます。『遊ぶ』という文字が入っているため、ただの旅行なの?仕事なの?と思ってしまいますが、れっきとした『海外出張』です」
産経の記事は、「漢字の『遊』は、軍隊の遊軍や遊兵、野球の遊撃手にも使われる。いずれも遊ぶという意味ではない」と語義を説明し、広辞苑で「遊」を調べてみると、「他国に出ること」や「一定の位置や所属がなく、自由に動くこと」という意味もある、と付け加えている。「withnews」も同様に、「遊」という文字には「よその土地に出かける」という意味があり、「遊説」「周遊」などとも使われます、と念を押している。