真鍋淑郎さんのノーベル物理学賞で注目 「忘れられた」詩人、白鳥省吾

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どうして「夕景」を選んだのか

   朝日新聞の「天声人語」も17日、白鳥のことを紹介している。

「ノーベル物理学賞の受賞が決まった直後、気象学者の真鍋淑郎さんが米国の自宅で応じたインタビューを見ていて気になったものがある。リビングの壁にかかった2編の詩だ▼井上靖の「渦」と、もう一つは白鳥省吾の作品だとわかった。前者はノーベル文学賞候補ともいわれた国民的作家だが、後者については知らなかった。どんな人物かと、出身地の宮城県栗原市にある白鳥省吾記念館を訪ねた・・・」

   そして、「凍えゆく夕暮の広野は/暗紫にところどころ雪の白を点ず(中略)/寒き地の肌に氷に閉ざされし枯草に雪の上に/煤(すす)ふらし咽(むせ)びゆく」と、こちらも墨書の詩の概要を丁寧に紹介。「真鍋さん宅に抜粋が飾られた「夕景」から、厳冬期の東北の農村が目に浮かぶ」とつづっている。


   果たして真鍋さんはどこで白鳥の詩を知り、なぜ墨書をリビングに飾っていたのか。「天声人語」は、「自然を愛し、自由で泥臭い言葉を紡いだ省吾は、〈文明は腫物のごとく田園を病ましむ〉ともうたった。気候の研究で地球温暖化の問題に貢献した真鍋さんの心に何か響くものがあったのだろうか」と結んでいる。

   河北新報の取材に、白鳥の息子の東五さん(84)は、「真鍋さんの研究へのひたむきな姿勢と、父の詩に対する態度が相通じると思った」「どうして夕景を選んだのか、ぜひ聞いてみたい」と語っている。

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