近年、商品名などが記載されたラベルを排除した「ラベルレス」の飲料が各企業から続々登場している。資源を削減でき、環境にやさしい一方で、ラベルは「商品の顔」ともいえる重要な要素。まっさらなまま店先に並んでいたら、消費者側も「何の商品?」と戸惑ってしまいそうだ。
そこで、J-CASTトレンドは、流通アナリストの渡辺広明氏に、ラベルレス飲料の課題と今後どう進化していくのか予測を聞いた。
ラベルレスが適しているチャンネルは
まず、ラベルレスの飲料は、無駄な資源を生まないので「良いこと」と渡辺氏。ただ、販売チャンネルを分けて考えると、マーケティング的には適しているチャンネルとそうでないチャンネルがあるという。
ケースでまとめ買いが前提となっているチャンネルでは、ラベルレスは「適している」。ECサイトやEDLP(エブリデーロープライス=毎日低価格)のスーパーマーケット、コストコなどだ。何の商品かは箱の記載で認識でき、資源削減になる。ラベルがないぶん原価も下げられることが考えられ、消費者側も安く購入できる、とメリットを挙げた。「自動販売機」でも、外のパッケージで商品がわかるためラベルレスでも良い、とした。
しかし、コンビニエンスストアのように、1本ずつ単品買いする店では、「全社対応は非常に難しいと思う」と話す。ラベルレスがずらっと並んでいると、何の商品かわかりにくい。実際に、現状ではラベルレスの飲料のほとんどが通信販売限定だ。「今はまだコンビニで、ラベルレスで売っているメーカーが少ないので差別化できています。ただ、今後全メーカーがラベルレスで売り始めたら、何が何だか分からなくなるのは事実ですね」と指摘した。