「キラキラネーム」拒否されるかも 戸籍に「名前の読み方」明記か

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   近い将来、戸籍に名前の「読み方」も明記することになりそうだ。法制審議会などで検討が始まっている。読み方が難しすぎる名前は拒否される恐れもあるという。

   最近では女の子の約3割は、すぐには読めない名前になっているそうだ。キラキラネームは、どこまで認められることになるのだろうか。

  • キラキラネームがなくなるかも!?(写真と本文は関係ありません)
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行政の効率化が目的

   2021年9月16日、上川陽子法相(当時)は「戸籍」に記された氏名の漢字に、読み仮名を付ける検討を法制審議会に諮問した。個人データを検索しやすくすることで行政の効率化を図るのが主たる狙いだ。法務省は関係法令の改正案を23年の通常国会に提出したい考えだ。

   現在のところ、出生届には読みを記入する欄があるが、戸籍にはない。24年にマイナンバーカードの海外利用が始まるのに合わせて、氏名をローマ字表記できるようにすることも目指している。

   日本は、先進国の中では行政のデジタル化が遅れている。朝日新聞によると、コロナ禍の「10万円給付」では、銀行の口座はカタカナ表記なのに、戸籍は漢字のみということで、紐付けに手間取ったという。

   同紙によると、これまでにも、出生届の受理などの際に戸籍に読み仮名を記載することが検討されてきた。しかし、その漢字にそぐわない読み方で届け出があった場合の判断が難しいなどの理由で、制度化が見送られてきたという。

   今回は、政府か行政のデジタル化を急いでいることなどもあって、検討作業が急ピッチで進む可能性がありそうだ。

最近では「鬼滅ネーム」

   大きな問題は、難読名の扱いだ。東京新聞によると、戸籍法では、名前は「常用平易な文字」で、漢字か平仮名、片仮名を使うとされ、漢字は2999字が指定されている。

   これまでの議論の中では「キラキラネーム」の扱いが論点の一つになってきたという。朝日新聞によれば、「海」を「マリン」、「七音」を「ドレミ」と読ませるようなケースだ。漢字本来の読みとは懸け離れたものもある。

   認めるかどうかについては、(1)公序良俗に反しない(2)音訓や漢字の表す意味との関連性――を基準とする案が上がっている。東京新聞によると、キラキラネームは(2)に引っかかるという。

   難読名前や、キラキラネームは、人気漫画やアニメの影響を受けることが多い。J-CASTトレンドでは、最近の赤ちゃんには、「鬼滅の刃」に登場するキャラクターと同じ読みが多数いることを紹介済みだ。

何通りもの読み方

   同じ漢字でも、何通りの読み方がある名前も増えている。「大翔」の読みは「ひろと」「たいが」「そら」など多数あり、女子に人気の「陽葵」も、「ヒナ」「ヒナタ」など複数の読み方がある。

   『子供の名前が危ない』(ベスト新書)などの著書がある命名研究家の牧野恭仁雄氏によると、最近の女の子の名前は、元の漢字とは別の読ませ方をする名前が3割程度を占めるそうだ(9月16日のデイリー新潮)。

   牧野氏は、名前の読み方で、「辞書通りの読み方しか認めないというのは、ある意味手っ取り早いかもしれませんが、それでは最近の名づけの主流からはかけ離れてしまうという懸念があります」と同誌に語っている。

韓国では戸籍廃止

   今回の戸籍法改正は、国家の事務効率化が主たる狙いだ。そのため、特殊な読み方の名前が規制されるかもしれないことについて、反発の声もあると東京新聞は指摘している。

   『天皇と戸籍――「日本」を映す鏡 』(筑摩選書)によると、最古の戸籍は670年につくられた。当時の戸籍は、徴税や兵役のために人民を管理する台帳であり、定住を促し、浮浪者を取り締まるという治安維持の狙いもあったという。

   その後、平安時代になって戸籍作成は途絶えたが、明治維新で復活。1872(明治5)年、壬申戸籍が新たに編製された。同書によれば、「戸籍は、あくまで『下々』を登録するものだった」という。

   戸籍制度は古代の中国に倣ったものだったが、現在でも維持している国はほとんどない。韓国では2008年に廃止。戸主制度もなくなった。新たに「家族関係登録簿」がコンピューターで自動作成されているという。

   世界の潮流を考えると、日本でも将来、名前の「読み方」のみにとどまらず、戸籍の抜本的な改革が検討されることもありそうだ。

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