マイナンバーカードを健康保険証として利用できる制度が、2021年10月20日に本格スタートした。対応している医療機関・薬局で顔認証付きカードリーダーを利用すれば、保険証の代わりとしてマイナンバーカードを使える。
一方、10月10日時点で、このカードリーダーの導入を完了した施設は、全国で7.9%に留まっている。
申請は6割に迫るのに
厚生労働省のサイトによると、病院や診療所・薬局を含めた22万9196施設のうち、顔認証付きカードリーダーの導入準備を完了したのは1万8141施設(7.9%)。元々は、2021年3月時点で「医療機関等の6割程度での導入」を目標としていた。
厚労省はマイナンバーカードの保険証利用の普及を推進している。顔認証付きカードリーダーは医療機関・薬局に無償で提供されるほか、導入に必要な資格確認端末(医療保険の資格などを確認するための端末)や各ソフトウエアにかかる費用も、一定の割合で補助を行っている。
実はすでに、顔認証付きカードリーダーの導入申し込みは、10月10日時点で22万9196施設中、12万8867施設(56.2%)が完了している。ではなぜ導入が7.9%に留まっているのか、厚労省保険局の保険データ企画室に取材した。
年度末までに9割程度の導入目標
カードリーダーを取り入れるに当たり、医療系のシステムを扱うシステムベンダー企業が発注を受けて施設への導入作業を行うが、導入には資格確認端末や、インターネットに接続するルーターといった機器が必要となる。
世界的な半導体不足の影響を受けて、こうした各種機器の調達が難航している状況だという。カードリーダーの方はスケジュール通りに台数を確保し準備を進めているが、他の機器が不足しているために、カードの保険証利用をめぐるシステム導入に遅れが生じているとの話だ。改善の見込みは「半導体の供給量次第」と担当者。
今後は2022年3月末までに9割程度、2023年3月末までにおおむね全ての医療機関等での導入を目標としている。