「2人で社員証をタッチすると飲み物がタダに」なる。そんな自動販売機を、サントリー食品インターナショナルは2021年10月19日に発表した。法人様向けの新サービス「社長のおごり自販機」だ。
発表によると、サントリーはリモートワークの浸透により職場でのコミュニケーション機会が減っていることに着目。手軽に飲み物が買える自販機を通じて、会話や交流のきっかけを増やせないかと考えて開発した。他愛のない雑談から、新たなアイデアが誕生することを期待しているとのことだ。
職場のコミュニケーションのきっかけへ
発表会で、サントリービバレッジソリューション・事業推進本部長の須野原剛氏は、自販機とは「2人で行くと、不思議とコミュニケーションのスペースになる」ような存在だと説明。
「社長のおごり自販機」は、コミュニケーション作りのきっかけにつながる。使い方は。まず誘い合わせるなどして2人で「社長のおごり自販機」に向かい、買いたい商品を1本ずつ決める。そして2人で社員証を自販機に設置されたリーダーに同時にタッチする。すると自販機の飲料選択ボタンが光り、タダで飲み物を買えるようになる。
本格導入に先駆けて、コクヨのビル「THE CAMPUS」内にこの自販機を導入し、実証実験を実施。アンケート回答者の97.8%が「本自販機がコミュニケーションのきっかけになった」と回答したとしている。
飲料代は設置先の法人が負担する。今後は首都圏から順次展開し、2022年中に100社への導入を目指す。
傘のレンタルや氷点下サイダーを楽しめる自販機
発表会内の須野原氏の話によると、自販機は姿や形が長年変わらないが、「まだまだ可能性があるのではないか」との思いから、社内の開発メンバーが今回のアイデアを考えたとのことだった。
近年、他各社も自販機に新たな機能や価値を付加したサービスを提供開始している。
例えばダイドードリンコは飲料自販機から傘を借りられる「レンタルアンブレラ」を2015年10月から提供している。最大7本の傘を収容しているレンタルアンブレラBOXを自販機側面に設置。急な雨といった時に、自由に傘を借り、後日返却するというサービスだ。利用は無料で、自販機を通じて「飲料提供以外の価値を地域社会の皆様にお届けしたい」という思いがこめられている。
そのほか、ダイドーは顔認証で自販機から飲料を購入できる顔認証決済サービス「KAO-NE」を21年4月26日から本格スタート中だ。スマートフォンなどで事前に顔画像・クレジットカード情報・パスコードを登録。自販機での購入時に顔認証し、自販機にパスコードを打ち込むことで、「手ぶら」で飲料を買える。オフィスや工場、病院での利用を想定している。
またアサヒ飲料は、氷点下で「三ツ矢サイダー」を楽しめる「氷点下自販機」を18年4月から全国で展開中。マイナス5度という冷たさで炭酸を堪能できる。また開栓後は条件によって「フリージング現象」が発生し、徐々にシャーベット状に凍るサイダーを楽しめる。