秋の味覚、ナシの最盛期となっている。スーパーなどでは立派なナシが目に付く。持ち帰るのも大変だ。何となく、最近のナシをサイズが大きくなっているような気がするが、どうなのだろうか。何か理由があるのだろうか。
大きさでランク付け
気になって、ナシ関連のウェブサイトを調べて、二つのことが分かった。
一つは、ナシは最盛期になるにつれ、同じ品種でもサイズが大きくなっていくということ。埼玉県久喜市の鈴木梨園のウェブサイトによると、ナシには規格があり、S、M、L、2L、3L、4L、5L、6Lという順番で大きくなっていく。同園で出荷している「幸水ナシ」の場合、収穫初期は3Lサイズ、最盛期は5Lサイズが中心になるという。最盛期ほど、消費者はサイズの大きなナシを目にする機会が増えるわけだ。
同サイトによると、ナシは、同じ品種であれば、大きければ大きいほど味が良くなるという。大きいナシを作るには、一本の木につける実の数を減らして一つ一つの実に栄養を集中させるようにする必要がある。そのため、大きければ大きいほど味が良くなる。大きくなる実はそれだけ栄養を蓄えた実でもあるという。
ナシは大きいほど値段も高くなるが、理由が飲み込めた。
品種改良で大玉
ナシは中国原産とされるが、弥生時代には日本列島に出現しているそうだ。古くから日本人に親しまれてきた。明治以降、品種改良に拍車がかかり、「長十郎」や「二十世紀」などが生まれた。大きさは、品種改良とも関係しているようだ。
果物情報サイト「果物ナビ」によると、代表的な品種は「幸水」。1959年に登場した赤ナシで、現在では日本ナシの約40%を占める。重さは250~300グラム。
ところが72年に命名登録された「豊水」は350~400グラム。90年の「南水」も同サイズで、中には500グラムを超えるものも。2001年の「あきづき」、05年の「彩玉」は500グラム前後。17年デビューの「加賀しずく」に至っては600グラムにもなるという。
1888年に発見された「二十世紀」は300グラム前後、93年の「長十郎」は250~300グラムというから、近年、ナシが大型化していることが推測できる。大きなナシほど、売り場の良い位置を占めているからインパクトが強い。
鳥取県倉吉市の鳥取二十世紀梨記念館・なしっこ館では、ナシの大きさを競う「全国巨大ナシコンテスト」を毎年開催している。優勝するナシの中には、一個3キロを超えるものもあるそうだ。