「マイナンバーカード」持つだけで3万円もらえる!? 公明党の石井啓一幹事長は、2021年10月12日の衆院代表質問で、カード取得者に3万円分のポイント(マイナポイント)を給付する提案をした。
顔写真入りの身分証明書として使えるマイナンバーカードだが、正直、存在感はイマイチ。総務省によると、マイナンバーカードの普及率は2021年9月1日時点で37.6%だ。だが3万円分のポイントが付与されるなら、申込者が増えるかもしれない。そこで思い出されるのが昨年、新型コロナウイルスの経済対策として行われた「特別定額給付金」。マイナンバーカードを利用したオンライン申請ができるとあって、カードをめぐり混乱が起きた。
4月申し込み、7月受け取りのケースも
特別定額給付金のオンライン申請が始まると、市区町村の窓口はマイナンバーカードの各種手続きに来た人が殺到した。朝日新聞は、「10万円給付、窓口混乱 マイナンバー手続き停止も」と2020年5月11日付で伝えている。6月2日には、総務省が43自治体でオンライン申請の受付を前日の1日までに停止したと発表。
今春には、マイナンバーカードを特定期間までに申請した人が5000円分のマイナポイントが与えられる政府の事業の影響で、終了前に「駆け込み需要」が発生。発行遅れがあった。
J-CASTトレンドの取材に答えた東京都足立区の個人番号カード交付・普及推進担当によると、「(今年)4月に(カード)申請された人だと、7月の受け渡しになっていたケースがあります。この時期は国からの発行も遅れていましたが、受け渡しのための窓口も少なかったため、(申請者に届くまでに)このような遅れが生じました」と振り返った。
マイナポイントの給付には、マイナンバーカードを所持している必要がある。公明党案の「3万円分ポイント付与」が実現すると、「給付金」のときと同じような混乱が起きそうだ。
現在は混雑解消、1か月程度だが
総務省マイナンバー制度支援室に取材すると、現在は「申請から交付まで、おおむね1か月程度となっています」と答えた。新型コロナの影響で、自治体によっては手元に渡るまで時間がかかるかもしれないとしつつ、混雑は解消されたという。
運用している自治体にも、現状を聞いた。東京都世田谷区の番号制度・マイナンバーカード交付推進担当課によると「10月7日現在、申請から交付通知までは1か月程度となっています。9月14日以前に申請された人には、通知書を発送しております」。同区では受け取りのために予約が必要となるため、通知書が届いてから実際に受け取るまでには通常1か月程度だという。
前述の足立区の担当者によると、カードの申請から交付通知書の発送までが約3週間、受け取りまでは4〜8日程度。受け渡しまでスムーズに行えているそうだ。過去の混雑については、こう話す。
「混み始めたのは特別定額給付金申請の時で、(混雑の)ピークは今年の1〜4月でした。マイナポイント事業の駆け込み需要です。交付申請は通常、ひと月に2000件程度のところ、給付金の時が9000件、最も多かった3月は3万1700件にのぼりました」
2月と4月もそれぞれ1万6000件、2万2000件と、普段よりずっと多かったという。予約制で行われる受け取りも1〜2か月待ちだったと、足立区の担当者。だが6月には2〜3000件まで減少。それに伴い、受け取りの予約状況も改善した。8月には混雑が解消し、1万2000件のカード支給を実施したとのことだ。