半導体不足を理由に、「iPhone 13」の生産目標が引き下げへ――。米ブルームバーグが2021年10月13日(日本時間)、こう報じた。米アップルは21年10〜12月に9000万台の生産を見込んでいたが、目標を最大1000万台引き下げる見通しとなったと、記事は説明している。
発売から約3週間。現在「iPhone 13 Pro」を中心に、機種によって注文から手元に届くまで時間を要する状況となっている。すでに半導体不足が生産に影響し始めているのだろうか。
「Pro」と「Pro Max」全モデルで
公式ECサイト「Apple Storeオンライン」でアップルの端末を注文できる。機種ごとに数種類用意されている内蔵データ容量やカラーを選べる。10月13日現在、通常のiPhone 13を注文しようとすると、「お届け予定日」は多くの場合10月23日〜28日、早いものでは21日〜23日と表示されている。
一方、上位機種の「iPhone 13 Pro」と「iPhone 13 Pro Max」。全データ容量・カラーのモデルで、配達予定日は11月12日〜19日とされている。他の機種より3週間から1か月ほど遅い。
NTTドコモの「ドコモオンラインショップ」には、端末の在庫表示ページがある。通常のiPhone 13の「256GB」モデルの場合、「ブルー」・「(PRODUCT)RED」の両カラーはそれぞれ「在庫あり」と記載されている。ただ他のカラーは在庫がないのか、「予約可能」との表示だ。
また、通常のiPhone 13の「128GB」と、「Pro」・「Pro Max」はどのモデルも「在庫あり」ではなく「予約可能」と書かれている。「よくあるご質問」ページによると、予約商品は在庫を確保し次第、利用者に入荷メールを送る。ただ、「予約商品によっては入荷までにお時間をいただく場合が」ある。
iPhone全て品薄になるかも
スマホ・ケータイジャーナリストの石川温氏に取材すると、例年でも新型iPhoneは発売から少し時間が経つと品薄になり、入手しづらくなる傾向があると指摘。この時期は注文から届くまで、2〜3週間程度かかることはあるようだ。ただ、
「今年はちょっと(納期の遅れが)ひどい感じがします」
本来はアップルも、より多くの数を製造したかったものの、世界的な半導体の不足が生産台数に影響しているのではないかと石川氏はみる。
また、新型コロナウイルスの影響により、東南アジアの工場の稼働率が低下していると報じられている。この地域には、アップル製品に使われる半導体以外の部品の生産工場があるようだ。各種部品の不足も、iPhoneの製造に影響している可能性がある。
現在は主にPro・Pro Maxが品薄となっているが、Proを購入しようとしていた人が妥協して通常版iPhone 13を購入するようになれば、こちらも品薄が十分予想されると石川氏は話す。
今後も半導体不足によりiPhone 13が入手困難となり、ユーザーの注文に対する納期が遅れていく可能性がある。さらに「13」が買えなくなることで今度は前世代機の「iPhone 12」を買い求める人が出現し、iPhoneシリーズ全体が品薄になることも「予想できると思います」。
過去にもアップルは不人気機種の生産を減らしたことがあるため、減産自体は珍しくはない。一方、iPhone 13は需要があるのに十分に製造できない状況にあり、報道された生産台数減が事実なら「異例なこと」と評した。