電動アシスト自転車に関するニュースが目立っている。コロナ禍で利用する人が増え、メーカーは生産ラインを増強しているという。2021年10月7日の首都圏の地震では、公共交通機関がストップ、駅周辺のシェアサイクルを使って帰宅した人も多かった。
一方で近年、事故も増えている。重過失責任を追及されるケースもあり、安全運転には普通の自転車以上の注意が必要だ。
20キロ以下のママチャリ型
産経新聞によると、パナソニックは2021年10月4日、一般的な「ママチャリ」タイプとしては業界最軽量の電動アシスト自転車「ビビ・SL」を12月3日に発売すると発表した。総重量は19.9キロで、同タイプの標準的な製品と比べて3キロほど軽く、駐輪や押し歩き時の負担を軽減している。
一般のママチャリは18~19キロ。もはや重さがあまり違わなくなっている。主婦の買い物や子どもの送迎のほか、シニア層の利用を想定しているようだ。
同社によると、新型コロナウイルスの感染拡大で、電動アシスト自転車の需要が増加。20年度の総需要は推計約82万台で、前年度比115%に拡大したという。
共同通信は9日、そのパナソニックが、電動アシスト自転車の国内生産体制を増強したことを伝えている。15億円超を投じて大阪府柏原市の工場を刷新。工場全体の生産能力は3割増の年38万台となり、将来は一段の強化も見込む。
同業他社でも同じような動きが加速していると見られる。
事故は10年で2.2倍に
7日の首都圏地震では、多数の「帰宅困難者」が電動アシスト自転車のシェアサイクルを利用したことが報じられている。TBSは都心のシェアサイクルの駐輪場が空っぽになったことを伝えていた。神奈川新聞は、都心のオフィスから1時間半かけてシェアサイクルで帰宅した会社員の体験談を紹介している。
ドコモ・バイクシェアは、19年の段階で、約8300台の電動アシスト自転車を都内に配備している。他社も含めると都内では2万台前後の電動アシストタイプのシェアサイクルが稼働しているようだ。
活況が続く電動アシスト自転車だが、危険と背中合わせという一面もある。物体は重さとスピードが増すほど衝突した時の衝撃が強烈になる。二人乗りタイプだと、本体の重さだけで30キロぐらいになるものもあるから、被害が大きくなる。
9月22日のニュースサイト「イザ」によると、この10年で電動アシスト自転車の事故は2.2倍に増えた。20年11月には神奈川県鎌倉市で、女性の運転する電動アシスト自転車が歩行者にぶつかり、約7か月の重傷を負わす事故が起きた。女性は重過失傷害罪に問われ、横浜地裁で今年7月、有罪判決を言い渡されたという。
重大事故の場合、多額の損害賠償などを請求される可能性もある。便利だが、一般の自転車以上にリスクがある乗り物だということを自覚した上で運転する必要がありそうだ。