乗り換え面倒なら既存プランを
スマホ・ケータイジャーナリストの石川温氏に取材した。ドコモが提供している既存プラン「ギガライト」利用者のうち、あまりデータ通信は使わない人が料金体系を不満に感じ、ドコモから他社のプランに「流出」しつつあるという。「エコノミーMVNO」の新設は、この流れを食い止めるためではないかと分析した。
「ガラケー(従来型携帯電話『ガラパゴスケータイ』)を使っていて、今後はスマートフォンに乗り換えたいが、あまり(データ通信は)使わない人に向けて、安く携帯を持てるプランという形で設定しているのだと思います」
ネット上には、新プランよりも既存の料金プランの価格を下げてほしいという声がある。そうしないのは、収益が大きく下がってしまうことへの懸念ではないかと推測した。
低価格化の要望や、各社で低廉な新プランが出てくる一方、すでに多くの利用者が加入しているプランを積極的に値下げしてしまうと、当然ながら収益性は低下する。
そこで、低価格プランを別途設けた上で、既存プランからの変更手続きを面倒だと感じる人には、従来のサービスをそのまま使ってもらいたいという思惑があるのではないかと石川氏はみる。今後も、ドコモの既存プランそのものが大きく値下げされることはないとの予測だ。また、ドコモショップで、安価なプランとして「エコノミーMVNO」を案内しても、「ドコモブランド」から乗り換えたくない人も出現し得るという。
競合するソフトバンクは、自社ブランド「LINEMO」で通信容量月3ギガバイト・月額990円というミニプランを提供している。この利用者が今後大幅に増えた場合、ドコモも対抗し、MVNOではなく自社ブランドのamahoなどで「(低価格な新プランの提供を)やらざるを得ないのでは」と石川氏は話した。