アイドルグループ・SKE48の元メンバーで、タレント・声優の矢方美紀さんが2021年10月6日、FWD富士生命保険のイベント「オンライントークセッション~コロナ禍におけるアピアランスサポートと私たちが今出来ること~」に登壇した。
矢方さんは25歳で乳がんと診断され、左乳房全摘出・リンパ節切除の手術を受けた。今もホルモン療法を行っており、注射や投薬を続けている。長引くコロナ禍で、自身の体調や心境の変化をどう受け止めているのか。イベント終了後、矢方さんにインタビューした。
闘病中でも「楽しいこと」に目を向けて
「どれだけ対策を徹底していても、感染してしまうリスクはありますよね。がん治療をする中で、コロナにもかかってしまったらどうしようかと...」
このように不安を吐露した矢方さん。しかし、すぐに表情を明るくして「でも、闘病経験を生かせる機会もありましたよ」と話した。例に挙げたのは、ワクチン接種に伴う副反応に備え、前もってスケジュールを調整し、準備を万端にしていた点だ。
「コロナのワクチンは、1度受けたら2回目は3週間後、と自動的に決められますよね。定められたスケジュールの中でも、自分の体調変化を想像しながら、上手に予定をコントロールできているのは、過去の経験のおかげです。2週間に1回のペースで抗がん剤治療を受けていた頃、副作用で思うように体が動かないことがよくありましたから」
自身の体験や気付きを、ポジティブにとらえて行動に移すのが「矢方さん流」だ。SNSで乳がんについて投稿すると反響が特に得られると感じ、病気がきっかけとなって自分を知ってくれる人がいると思うと、「自分にしかできないことと受け止め、情報発信する大切さ」をかみ締めているという。
「当初、自分の闘病経験を明かすことには、とっても勇気が必要でした。どうしてウィッグをつけて歩いているんだろう、何で乳がんになってしまったんだろう、こう思い悩む日もありました。ただ、病気であることをプラスとマイナス、どちらにとらえるかで、私を見てくれる人の層が変わるなとも感じたんです」
矢方さんが「パワーをもらっている」という、ある女性の話。同時期に乳がんとなり、手術を受けたサバイバーだ。弱音を吐くこともあるが、病気と付き合いながらおしゃれやスポーツ、趣味を楽しんでいて、本当に輝いているという。
「病気にならないのが一番ですが、その事実を受け入れて『たとえ病気だとしても、楽しいことをしていいんだ』と気付きました。イベントやラジオへの出演、SNS投稿などを通じて、そういう前向きな姿を見せたい」