すでに「もう一つのノーベル賞」を受賞
ところが実際には「ノーマーク」状態の真鍋教授となった。その理由については、真鍋さんが2007~14年に名古屋大の特別招へい教授を務めていた当時、親交のあった須藤健悟・名大教授(大気科学)が5日、朝日新聞に語っている。
「ノーベル賞は地球科学の分野を対象にしないと言われていた上、すでにノーベル賞を補完するとされるクラフォード賞を受賞しているため、『ケリがついたと思っていた』」
周知のようにノーベル賞には対象としていない学問分野がある。クラフォード賞は、1980年に設立された賞。ノーベル賞と同じくスウェーデン王立科学アカデミーが運営しており、ノーベル賞が扱わない科学領域を補完するのが目的とされている。分野は天文学と数学、地球科学、生物科学(環境や進化の分野)。真鍋さんは2018年に受賞している。
同賞は、これまでにも何人もの日本人が受賞している。その中には毎回、ノーベル賞候補者として名前が挙がる学者もいる。ノーベル賞との線引きは、分野によっては微妙なようだが、時事通信は、北海道大理学研究院の見延庄士郎教授(気候科学)の「ノーベル賞に地球科学賞はない」という、研究者のこれまでの受け止め方を伝えている。
マスコミの事前予想に名が出なかったのは不自然ではなく、今回はノーベル賞とクラフォード賞の境界を超えた極めて異例の受賞ということになる。ダブル受賞ということは、それだけ真鍋さんの研究成果が意義深いものだった証にもなりそうだ。