【連載】浦上早苗の「試験に出ない中国事情」
動画アプリTikTokの中国版「抖音」が2021年9月下旬、「仏閣参拝セレブ(以下、仏教セレブ)」のイメージを利用し、消費者をだます"罰当たり"な商業活動を行ったとして、48アカウントを停止した。うち7アカウントは永久凍結された。また、別に148コンテンツが削除された。
インスタグラムの中国版と言われる「RED(小本書)」でも同じ時期に、仏教セレブ関連の3アカウントが停止処分を受け、70コンテンツが削除された。
ヒアルロン酸注入で福耳偽装
そもそも「仏教セレブ」とは何なのか?現地メディアによると、非常に新しい言葉のようで、アカウント処罰後には解説記事が多数登場した。
コロナ禍で社会の不安が高まり、しかも外出自粛が求められていた2020年春、複数の寺院が抖音にアカウントを開設し説法動画などを配信すると、たちまち大人気を博し、数百万フォロワーがついた。
「寺院」や「仏教」が持つ高尚さ、厳かさに目を付けたのが、動画や画像SNSで活動する女性インフルエンサーだ。彼女たちは寺を背景に写真を撮り、写経をしたりお茶をたてることで、自身をブランディング。仏教セレブという言葉が生まれた。報道によると、よりありがたさを出すためか、袈裟を身にまとったり、耳にヒアルロン酸を注入して「福耳」にするセレブすらいるそうだ。