自民党・岸田文雄新総裁の愛読書 長く非公開だった外交にまつわる記録

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日本の国益のための戦争

   同書には1894(明治27)年に朝鮮で起きた甲午農民戦争(東学党の乱)から、95(明治28)年の三国干渉までの陸奥宗光自身の外交の経験・苦労・感想が書かれている。たとえば、94(明治27)年の日清戦争開戦の動機については、内村鑑三は当初、中国の不当な朝鮮支配を打破するための義戦であると唱え、日本の世論もだいたいにおいてこれに一致していたが、『蹇々録』にははっきりと日本の国益のための戦争であって義侠の精神はまったくないと書かれているという。

   岸田氏は2012年12月から17年8月まで5年近く外務大臣としていた。韓国との慰安婦問題の処理にもあたっている。日韓関係のこじれの淵源を、大先輩の外務大臣の著作を通して学びなおしていたのかもしれない。

   岸田氏の愛読書が『蹇々録』だということについては、改めてスポットが当たることもありそうだ。

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