「お礼を言いたい」との連絡が
何かと批判されることもある白鵬だが、『その苦しみは続かない--盲目の先生 命の授業』(朝日新聞出版)には、白鵬の意外な一面も紹介されている。著者の竹内昌彦さんは幼少時にほぼ視力を失い、のち東京教育大学(現・筑波大学)の盲学校教員養成課程を卒業。岡山県の県立岡山盲学校の教頭などを務めた人だ。
加えて途上国の視覚障害者自立支援の活動もしており、2011年にモンゴル、15年にキルギスに盲学校を設立した。
日本の「按摩」をアジアの視覚障害者に教える活動にも関わり、とくにモンゴルとの縁が深い。現地にマッサージ師養成の学校もつくった。その話を耳にした横綱の白鵬から「お礼を言いたい」との連絡が入り、宮城野部屋まで出かけて横綱と話をしたことがあるという。白鵬は律義にも、その後のモンゴル帰国時にこの学校を訪問してくれたそうだ。
同書によれば、白鵬は北海道に田んぼを買い、寒さに強い稲をつくってモンゴルに送り、恵まれない子たちの自立を助けようという活動もしているとか。モンゴルには「白鵬基金」もあるという。「大横綱というよりも温かい心を持った一人の人間として、彼を身近に感じた」と竹内さんは記している。