携帯電話の3G(第3世代移動通信システム)回線の提供終了が迫っている。現在主流の4Gや、新しい通信規格・5Gに対応していない携帯電話端末、いわゆる「ガラケー」ではいずれ通信ができなくなる。
NTTドコモ モバイル社会研究所の2021年5月26日の発表によると、60代で80%、70代で62%がスマホを所有。ガラケー所有率は60代で19%、70代で26%だ。関東1都6県・60~79歳男女を対象にした調査で、有効回答数は508人。このままガラケーは消滅していくのか。
auは2022年3月末に3G終了
NTTドコモは2026年3月31日に、au(KDDI)は2022年3月31日に、ソフトバンクは2024年「1月下旬」にそれぞれ携帯電話向けの3Gサービスを終了する。さらに、ドコモの21年6月28日の発表によると、2001~06年にかけて発売した携帯電話のうち、42機種で22年1月から一部のエリアで通話・通信の利用ができなくなる。
スマホ・ケータイジャーナリストの石川温氏は取材に、4G・5Gに対応していない旧来のガラケーはすでに生産されていないと話す。保有しているユーザーはいても、「絶滅」しつつある。3G終了に伴い、こうしたガラケーは姿を消していくと考えられる。ただ、「4Gで使える『折り畳みのケータイ』は残り続けると思います」。
携帯電話には、「ガラホ」と呼ばれる機種が存在する。これらはスマホ向け基本ソフト「Android」を搭載しつつも、ガラケーと同じ操作性を有する。折り畳み式で、テンキーで操作できる。4G対応のガラホは現在も生産されており、新製品も作られている。3Gが終了しても、ガラケー型の携帯電話は残るというわけだ。一方で石川氏によると、4Gに対応しているガラケーそのものは一般的に存在せず、生産もされていない。
行政サービスはスマホ使用前提
ただ、携帯電話ショップは安価でスマホに乗り換えられるキャンペーンの案内などを行っており、今後もスマホへの移行が増えていくと考えられると石川氏は指摘する。
さらに、ワクチンの予約といった行政のオンラインでのサービスにはガラケー・ガラホではなく、スマホ利用を前提としたものが増えつつある。こうした流れから、60代以上のシニアでも「これからどんどんスマホデビューしていくと思います」と推測した。
ただ、近いうちにガラホが使われなくなったり、生産が停止したりするわけでないという。画面が小さく、消費電力が少ないことからバッテリ―の持ちがよいガラホは、通話のためだけのケータイを持っておきたい層からはニーズがあると分析した。頻繁に電話を行う営業マンが、スマホとは別に、通話専用に二台目として使う、といった利用方法だ。
「スマートフォンを使っているけども、ガラホも使っているという人が増えてきてもおかしくない」(石川氏)
現状ガラホから新製品が登場していることからも、一定の需要があると考えられる。5~10年は販売が続くのではないかとした。
ただ、近年発売されているガラホには、赤外線通信やワンセグテレビといったガラケーにみられた機能はなく、従来のガラケーとは性質が異なるという。「(ガラケーというよりは)単なるケータイ、電話機だと思います」。