【連載】浦上早苗の「試験に出ない中国事情」
人気セクシー女優・三上悠亜が、胸元が大きくはだけた「漢服」姿を披露し、「伝統文化を侮辱している」と非難されている。一方で、「漢服警察うざい」「マジになるなよ」など反論も多く、SNSでちょっとした漢服論争になっている。
コスプレ衣装のよう
三上悠亜は9月に入って、中国SNSウェイボ(微博)で「漢服は本当にきれいです。中国文化です」「漢服かわいい」などの文言とともに、何度か漢服姿の写真や動画を投稿している。だが、それはキャバドレス通販サイト「Sugar」で発売するハロウィン向けコスプレ衣装の一着のようで、スケスケの生地で、胸の半分が露出している。
ファンは大喜びだが、一連の投稿は一部の"民族主義者"を刺激。「日本人は中国文化を知らないから、これが漢服だと思っている」「漢服はこの人に着せるためにあるのではない」など、批判が寄せられた。
中国ではこの1~2年、中国的な要素を取り入れた「国潮」ブームに乗り、Z世代の間で漢民族の伝統衣装である漢服の人気が高まっている。市場調査会社の艾媒諮詢によると、漢服の市場規模は、2015年の1億9000万元(1元=約17円で約32億3000万円)から2020年は63億6000万元(約1兆81億2000万円)に急拡大。今年は100億元(約1兆7000億円)を突破する見込みだ。
10年前はマニアの趣味だったのが、今や20代の女性が年間数着買うおしゃれ着になっており、中国の漢服人気が日本のセクシー女優やコスプレ服にも波及したと言っていいだろう。
ウェイボのフォロワー約12万人
もちろん、中国のネットユーザーが三上悠亜に対して批判一辺倒なわけではない。
「彼女は漢服が何たるかを理解していないのではなく、男性ファンのニーズに応えているだけだ。男性ファンはこういうコスプレが好きでしょ。マジになるなよ」 「中国人だって、正しい『JK制服』を着ているわけではないだろう」
「唐時代の壁画の女性も、こんくらい胸を露出していた」といった擁護も少なくなく、あるユーザーは、「漢服をウォッチして10年以上になるが、漢服警察がこれほど湧いて出たのは初めてだ」と投稿した。三上悠亜への非難というより、中国人の間で「正しい漢服・間違った漢服」論争になっており、個人的には「〇〇警察」という言葉が日中で同じ使われ方をすることが、印象深かった。
ちなみに、日本人セクシー女優は中国で大人気。蒼井そらは引退した今もウェイボで1990万人にフォローされ、フォロワー数で日本人トップを独走している(2位は福山雅治で543万人)。他には波多野結衣が306万、小澤マリアが210万、吉沢明歩が134万フォロワー、元AV男優の加藤鷹も149万フォロワーを誇る。
今年6月にウェイボのアカウントを開設したばかりの三上悠亜は、フォロワー約12万人だ。今回の漢服論議は、コアなファン以外に認知度を広げる機会になったかもしれない。