今では辞書にも掲載
その後、「政局=首相の座を争うような権力闘争」という意味は、次第にメディアに登場するようになり、市民権を得ていく。
「ヤフー知恵袋」には2004年、「『政局』になる、などとよく言いますが、政局とはどういう意味ですか」という質問が出ている。「2000.11.06のテレビ朝日『ニュースステーション』で、福岡政行氏が『政局』を解説していた」「永田町用語の『政局』は、総理の進退を含む大波乱・対決を指すらしい」という趣旨の回答が載っている。
「日経ネットPlus」には2008年11月21日、「『政局』 政権動かす場面に多用」という解説が掲載されている。
上述の毎日新聞校閲記者コラムによると、『大辞泉』の第2版(2012年)には「政局」の意味に、「(2)政党内・政党間の勢力争い。特に、与党内での主導権争い。多く、国会などでの論戦によらず、派閥や人脈を通じた多数派工作として行われる。『――になる』」という解説が加わった。『新明解国語辞典第7版』(2012年)も、この語の「運用」の仕方として「政治家・報道関係者では『政局にする(なる)』の形で、『政争を引き起こす(が起こる)』の意に用いられ、首相交代や解散総選挙など、政界の勢力分野に影響を及ぼすような局面を言う」という説明を載せたという。
朝日の曽我記者は最近、改めて幾つか辞書をひいてみたそうだ。「デジタル大辞泉」の「派閥や人脈を通じた多数派工作」という辛口の説明が、自身の取材実感に近い、と書いている。
自民党の総裁選は、今まさに「多数派工作」の真っ最中。次期首相が決まるのはその後の臨時国会になる見通しだ。