複数の治療薬を開発中
しかし、軽症ならだれにでも利用できるわけではない。「日経バイオテク」によると、抗体カクテル療法は高価で、製造量を簡単に増やせず、処方も難しい。
「重症化リスク因子のない患者や症状を呈していない無症状者は投与の対象から外れる」という。したがって、現在のところ、「重症化リスク因子のない軽症患者に投与し、症状のある期間を短縮するような治療薬はまだない」というのが実情だ。
入院していない軽症患者に経口投与できる治療薬の開発は、2020年春以降、世界中で進められてきたという。しかし、効果が認められなかったり、安全性に懸念が生じたりした複数の治療薬が開発競争から脱落したそうだ。
現段階では富士フイルム富山化学、中外製薬、ファイザー、興和、塩野義製薬などが経口投与の治療薬研究を継続中。この中には「アビガン」も含まれている。それらの進展状況が時折、個別にメディアで報じられている。中には、後期臨床試験入りする治療薬も出てきており、早いものでは、21年内にも初期の結果が示され、承認申請につながることが期待されているという。
こうした経口薬が承認され、一般の人が手軽に入手できようになると、社会とコロナの関係は激的に変わる。
塩野義製薬の手代木功社長は「日経ビジネス」21年3月31日号のインタビューで、「ワクチン、治療薬、診断薬」の三点セットが揃うことが重要だと説明。「そのような状況になるのは22~23年ではないでしょうか」との見通しを語っている。