【連載】プロが教える「超ラク腸活」
近年、各地で豪雨や大型台風による災害が頻発している。決して人ごとではない。自宅が浸水して暮らせなくなったら、あなたも急に避難所生活になるかもしれないのだ。
避難所の環境や、食事の変化でストレスを感じたら、それが便秘の原因になることがある。そんな時、道具を使わず自分だけで、その場で腸の活動を整える方法がある。うんち記録アプリを運営するウンログ(東京都渋谷区)の長瀬みなみさんに聞いた。
「深い呼吸」でリラックス
長瀬さんによると、腸がしっかり動くのは、「副交感神経」が優位になった、リラックスした状態だ。しかし人はストレスがかかると「交感神経」が優位な状態になる。これが続くと腸の動きが悪くなり、腸内環境が乱れてしまう。
避難所では、様々なストレスが想定される。例えば、食事面だ。自宅では自分の体調と相談しながら自由に食べるものを選択できるが、避難所ではそうはいかない。厚生労働省がまとめた「避難生活で生じる健康問題を予防するための栄養・食生活について」には、被災地に送付される食品は炭水化物が多く、たんぱく質・ビタミン・ミネラル・食物繊維の不足が生じやすい状況にある、と記されている。
提供される食事から食物繊維や水分が十分にとれないと、排便に必要な栄養素が足らずに便秘になることがある。また、避難所生活でトイレに行くのをためらってしまう、人の目があって落ち着かないなどの住環境もストレスになる。
そんな状況になったとき、まず長瀬さんが勧めるのは「深い呼吸」だ。リラックスさせる目的で行う。ストレスがかかり、交感神経が優位になっている状態では、呼吸が浅くなっていることが多い。鼻から吸って口から吐く。鼻から5秒吸って、口から10秒で吐く「1:2の呼吸」が理想的だ。腹式呼吸で、お腹を大きく膨らませるようにしよう。
「自分の体が風船だとイメージして、前後左右上下に息を吸った時は広げる、吐いた時はすぼめるようにしてみてください」
朝晩5回ずつ「ツボ押し」を
次に便秘解消目的の「腸もみ」。へそを中心にして両手を重ねて腹の上に置き、痛くない程度に押し込んでゆっくりと左右に揺らす。深い呼吸と合わせて、寄せては返す波のように、ゆったりと動かそう。ペースが早いとリラックスできなくなるため、ゆっくり行うのがコツだ。寝た状態で行うのが良いが、座ったまま、もしくは立ったままでやる場合は、少し前傾姿勢になって腹の力をゆるめよう。
最後に「ツボ押し」だ。便秘に効果的なのは「大巨(だいこ)」と呼ばれるツボ。へそを中心に、指3本分を左右に移動したところから、さらに指3本下の部分にそれぞれある(写真参照)。10秒かけてしっかりと押し込む「持続圧」で、ゆっくりと押す。「つぼの位置は人によって、また日によって変わります。お伝えした場所は目安として考え、押し込むとズンと響くように痛むところを押しましょう」。朝晩5回ずつ行うとよい。
「腸内環境は、食生活だけなく、生活環境でも大きく影響を受けます。環境そのものを変えられない時は、少しでも意識的にリラックスできる状態を作るようにしてみてください。老若男女問わずに簡単にできるのが『呼吸』。環境変化があった時だけでなく、普段から意識できるとより良いでしょう」(長瀬さん)