小泉進次郎環境相を思わせるデザインの「エコバッグ」に、注文が殺到している。小泉氏肝いりの政策「レジ袋有料化」が2020年7月にスタートして1年以上が過ぎた中、ちょっとした話題だ。
菅義偉首相が退陣の意向を表明し、自民党総裁選が連日ニュースとなっており、小泉氏の動向も注目されている。このユニークなバッグの製作者を取材した。
「応援」の気持ちから製作
その名は「腹立つトートバッグ」。描かれた男性が自分を指さして、「レジぶくろ無くしたのオレな」と自慢しているように見える。
製作者は取材に対し、自らを「世界征服商店」と名乗った。長年デザイナーをしており、ウェブサイトでトートバッグなどを販売している。
「ガーメントプリンター」という衣類用の印刷機を使い、「ワクチンパスポート」と書かれたTシャツなど手掛けているが、同機購入時におまけでエコバッグが5つ付いてきた。「エコバッグといえば小泉さん」――こんな連想が、今回のバッグ誕生のきっかけとなった。
小泉氏は、レジ袋有料化に不満を持つ人から批判を受けることもある。「ちょっとかわいそうだから応援しよう」と考え、「小泉さんを思わせる人物」を描いてバッグを製作した。エコバッグの普及応援という意図もある。絵は小泉氏の写真のトレース(なぞり描き)ではなく、世界征服商店さんのオリジナルとのこと。
発売5分で売り切れた。当初、特段の名称はなかったが、見ているだけで「腹が立つ」との反響が寄せられたため、後から「腹立つトートバッグ」と名付けた。
9月3日に追加販売を開始したが、多い日で1日300件というペースで注文がきており、生産・発送作業に追われている状況だ。
店員に見せて笑わせる使い方
購入者からの反応は「予想以上に面白がっている人が多い」。小泉氏への批判の意味をこめてか、デザインが変顔になるよう折りたたんで使ったり、ぐしゃぐしゃに物を詰め込んでいる利用者がいるという。スーパーマーケットのレジの店員に、サプライズ的にデザインを見せて笑わせる使い方も多いとのことだ。
世界征服商店さんは、「良いデザインや作品というのは、『どうにでもとれるもの』」だと考えている。この考えに基づいて、「レジぶくろ無くしたのオレな」というフレーズを付けた。
「俺が環境をよくした」という自慢にも、「不便になったのは俺のせいだ」という「あおり」にも見えるという。「(レジ袋有料化が)良いことなのか悪いことなのか、手にした人が意味を考えてください」という思いが込められている。