「VR(仮想現実)」を基本の「キ」から押さえつつ、「VRを楽しむ達人」を目指す連載。ナビゲート役は、「メタバース」でのマーケティングや調査を手掛ける「往来」代表取締役の東智美さんだ。
第二回では、東さんにVRヘッドセット「Oculus Quest2(オキュラスクエスト、以下Quest2)」を貸してもらい、一人でも楽しく遊べる釣りゲーム「Real VR Fishing」を紹介した。VRの更なる魅力を体感するには、自前のヘッドセットを買った方がよさそうだ。様々な選択肢の中から、どの「VRヘッドセット」を買うべきか、理由も含めて東さんに解説してもらおう。
パソコンなしでも楽しめる
前回、記者はQuest2を頭に装着し、コントローラーを両手にはめてすぐ、ゲームで遊べた。これはテレビやパソコン(PC)といったデバイスに接続することなく、単体でさまざまなVRコンテンツを体験できる「一体型VRヘッドセッド・スタンドアローン型」ならではの強みだ。
東さん「Quest2は、スマートフォン向け部品が内蔵されています。Wi-Fiを用いて、『Oculus Questストア』から購入・ダウンロードしたコンテンツを本体にインストールするだけで、手軽にVR体験できます」
コンテンツ購入から利用の流れはわかったが、不思議なことが一つある。前述の釣りゲームでは、現実世界の自分の手がVR空間上にも投影され、リアルの動きを踏襲してくれた。
東さん「確かにすごい仕組みですよね。これも、トラッキングセンサー(カメラ)がQuest2内に組み込まれているおかげなんですよ。『インサイドアウト方式』と呼びます」
つまりVRヘッドセット内蔵のカメラが、ユーザーの頭の位置や、手の動きを計測し、自動的にVR空間に投影して「リアルとVR上での位置、動き」を合致させてくれる。外部センサーカメラを現実世界に設置する必要はないのだ。
一方で、デメリットもある。動きを測定できる範囲が狭いため、コントローラーを持つ手をカメラの死角となる位置で動かすと、VR上における分身「アバター」に反映されない。アプリ「VRChat」などで他ユーザーと交流する際に、自分のアバターが不自然な挙動をしているように見られてしまう。現実世界と、VR上での動きを正確にリンクさせたければ、外部センサーカメラを別に用意する「アウトサイドイン方式」を検討した方が良い。
東さん「VR上で、ダンスをはじめとしたパフォーマンスを披露する人たちは『アウトサイドイン方式』を取り入れ、指先のしなやかな動きまでしっかり見せる工夫をしています。ただ、初心者が気軽にVR体験をする目的であれば、『インサイドアウト方式』で十分ですよ!」