「ウレタンマスク」は、新型コロナウイルスの感染防止対策の面で、研究者らが効果を疑問視している。しかし、真っ白の不織布マスクよりも、カラーが豊富で見た目がおしゃれなのもあり、今でも着用している人が一定数いる。
J-CASTトレンドは、現在もウレタンマスクを使う20代の女性3人、男性1人に、着用する理由を取材した。すると、ファッションとは全く別の理由が聞こえてきた。
「経済的」を理由に挙げる女性
国立病院機構仙台医療センターのウイルスセンター長・西村秀一氏は、2021年7月6日放送の情報番組「モーニングショー」(テレビ朝日系)で、ウレタンの除去性能について述べた。自身の研究室で行った実験結果を示しながら「これはひどいなと思いましたね」と指摘した。
国内の医師、研究者らは政府に対して、新型コロナは「空気感染が主な感染経路」としたうえで、対策を求める緊急声明を出した。21年8月27日付朝日新聞デジタルによると、声明には「ウレタン製や布製のものよりも、隙間のない不織布マスクなどの着用徹底の周知」要求を盛り込んだ。
それでも、ウレタンマスクの着用を続ける人はいる。
Aさんは、ウレタンマスクは見栄えが良いため着用している。それに加え、もうひとつ理由があった。
「洗って使いまわせるので、こっち(ウレタン)のほうが経済的」
使い捨ての不織布マスクが全く買えないほど、金銭面に困っているわけではない。しかし、「(コロナに)感染していないし、今すぐ(お金を出して不織布マスクを買うことが)必要ってわけでもないのかな」と考えている。
「不織布マスクの見た目が苦手だから」と話すのはBさん。幼少期に通っていた病院の医師が着けており、その医師に怒られた過去がある。それから苦手になったという。自分が着けるだけでなく、「不織布マスクを使用している人が周りに大勢いると、ちょっと怖い...」とポツリ。
素材まで気にしていなかった
Cさんは、これまではウレタンマスクを使っていたが、直近21年8月下旬から不織布マスクに変えた。応援している男性アイドルがウレタンマスクを着けており、それを新型コロナが流行する前に見てから、着用するようになった。「お揃いが嬉しかったし、呼吸しやすくて気に入っていた」。
しかし、インターネット上で度々「ウレタンはやめたほうがいい」という書き込みを目にするように。Cさん自身、誰かに直接とがめられたことはなかったが、感染防止の面から不織布に変えたと説明した。
「洋服に合わせるため」と答えたのは男性Dさんだ。ただ、状況によって使い分けている。営業の仕事をしており、客先に出向く際は清潔感のある白の不織布マスクを着用しているという。これは感染対策ではなく、見た目の問題だと話す。「正直、マスクを着けていたら安心、と思って素材までは気にしていませんでした」。